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「唯今〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

唯今の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
の山によりかかっていた。重吉は外套や帽子をとると、必ずこの「離れ」へ顔を出し、「唯今《ただいま》」とか「きょうは如何ですか」とか言葉をかけるのを常としていた。し....
疑惑」より 著者:芥川竜之介
り方につきまして、善悪とも先生の御意見を承りたいのでございます。と申しますのは、唯今からざっと二十年ばかり以前、私はある思いもよらない出来事に出合いまして、その....
黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
ございます。お栄もまだ御覧の通り、婿《むこ》をとるほどの年でもございません。もし唯今茂作の身に万一の事でもございましたら、稲見の家は明日《あす》が日にも世嗣《よ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
手廻りの使いに遣ったのに、大分後れたにもかかわらず、水口の戸を、がたひし勢よく、唯今帰りました、あの、御新造様、大丈夫でございます。 明後日出来るのかい、とお....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
忘れぬ前に申上げたい儀で罷出た。若様へお取次を頼みましょ。 侍女一 畏りました。唯今。……あの、ちょうど可い折に存じます。 右の方闥を排して行く。 僧都 (謹み....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
。扇子店の真上の鴨居に、当夜の番組が大字で出ている。私が一わたり読み取ったのは、唯今の塀下ではない、ここでの事である。合せて五番。中に能の仕舞もまじって、序から....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
顔して、 「はて、お早いお着きお草臥れ様で、と茶を一ツ持って出て、年増の女中が、唯今引込んだばかりの処。これから膳にもしよう、酒にもしようと思うちょっとの隙間へ....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
ると、お気に入りますかどうでございましょうか。ちとその古びておりますので。他には唯今どうも、へい、へい。」 「古くっても構わん。」 とにかく、座敷はあるので、....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ますがね。鏡台山と、ちょうどさし向いになっております――おお、冷えますこと、……唯今お火鉢を。」 「小村さん、寸法は分りました、どうなすったんです、景色も見ない....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
六 「ちょいちょい、お借り下さる方がございまして、よく出ますから。……唯今見ますけれど。」 女房は片膝立ちに腰を浮かしながら能書をいう。 「……私も....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
しそうに、莞爾する。 女中はまた遊ばれると思ったか、同じく笑い、 「奥様、あの唯今のお客様のでございます。」 「お客だい、誰も来やしないよ、お前。」と斜めに肩....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
報な身体ですから、盈れば虧くるとか申します通り、こんな恐しい目に逢いましたので。唯今ここへ船を漕いでくれました小児たちが、年こそ違いますけれども、そっくり大きい....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
云う、まがいものの戯曲を、軽い頬杖で読んでいた。 「御意で、へ、へ、へ、」 と唯今の御前のおおせに、恐入った体して、肩からずり下って、背中でお叩頭をして、ポン....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
しい。世をいつわらざるものだ、と信ずるからである、と云うのである。 (――夜話の唯今なども、玄関の方には件のヘルメットと、大洋傘があるかも知れない。) が、甜....
活人形」より 著者:泉鏡花
。と得三が促し立つれば、老婆は心得、莞爾やかに高田に向いて、「お芽出度存じます。唯今花嫁御を。……と立上り、件の人形の被を掲げて潜り入りしが、「じたばたせずにお....