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唯心
「唯心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
唯心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
と極った所が既に服する丈の刑を服して来たのならかれこれ私が問う訳はなく、其の点は
唯心得までに調べさせて有る丈です。其の点の如何に拘わらず、既に貴方の叔父御に毒害....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
欧洲の思潮ではヘブライズムとヘレニズムの名で、仏典では色相と空相の名で、或は唯物
唯心、或は個人社会、或は主義趣味、……凡て世にありとあらゆる名詞に対を成さぬ名詞....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
しただけで、跡は成行きにまかせていた。彼女の心はそんな事には止ってはいなかった。
唯心を籠めて浄い心身を基督に献じる機ばかりを窺っていたのだ。その中に十六歳の秋が....
「反戦文学論」より 著者:黒島伝治
表現派は、多く、戦争に反対し、その悲惨、その暴虐を呪咀し、絶叫してはいるが、
唯心論的で、たゞ、主観的な強調に終始している。ブルジョア作家の戦争反対はこれ位い....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
だアね」 作「なに否どころではない、貴様の心底を看抜いての上だから、人は容貌より
唯心じゃ、何しろ命を助けてくれた恩人だから、否応なしで」 權「併し夫婦に成って見....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
孝「お父様御機嫌よろしゅう、長い旅ですからつど/\書面を上る訳にも参りません、
唯心配になるのはお父様のお身体、どうか私が本懐を遂げ帰宅致すまで御丈夫にお出であ....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
して自分が常に抱いている、中学の課程において、自然科学を教うる際に、認識論ことに
唯心論的な認識論の入門をあわせて教えなければならないという意見の実施の代用として....
「松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
で、仲好く其の年も経ちまして、翌年九月までと云うものは極愉快にして暮していたが、
唯心に絶えぬのは新助の事です。兄新助のお金で私は斯うやって身請をして、思う女と夫....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
しかし鶴見はそれ以上深入りすることを恐れた。はっきりとではなかったが、あまり
唯心の妙説に牽かされて、理心の中で抽象されたくはなかったからである。ただ『起信論....
「触覚の世界」より 著者:高村光太郎
生きている。音が縦横に飛んで全身を包んで叩く。音楽が私を夢中にさせる功徳を、ただ
唯心的にのみ私は取らない。其は斯かる運動の恐ろしい力が本になっているのである。私....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
、何処へッて当はないの。落したら其処でよし、失くしたらそれッきりで可んだから……
唯心持だけなんだから……」 「じゃ、唯持って行きゃ可いのかね、奥さん、」 と聞....
「明治哲学界の回顧」より 著者:井上哲次郎
おいていつも優勢で、ずいぶん極端までゆくことを常としたものである。もう一つの側は
唯心的、超絶的、主観的、道徳的、宗教的、というような思想の系統である。この側は前....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
てしたのだろう。たとえば西行や俊成と心を通わしたあの大原の三寂のうちで、寂然は『
唯心房集』に四十九首の創作|今様をのこしたし、鴨長明のこころみた『方丈記』の散文....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
って来ました。形のよく整った御所柿です。 好意があればこそ柿の贈物がある。これ
唯心的の見方であります。柿の贈物があるので人の好意も現し得られる。これ唯物的の見....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
と物は「人」に於て渾然一体である。その正しき調和を無視して一方に偏重し、いわゆる
唯心とか唯物とかいう事はむずかしい理屈の分からぬ私どもにも一方的理屈である事が明....