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唱え
「唱え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
唱えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
月々文太郎の養育料として若干の金を送って貰う、――彼はこういう条件に少しも異存を
唱えなかった。のみならず妾宅に置いてあった玄鶴の秘蔵の煎茶《せんちゃ》道具なども....
「じゅりあの・吉助」より 著者:芥川竜之介
に、一際《ひときわ》高く十字を描いていた。彼は天を仰ぎながら、何度も高々と祈祷を
唱えて、恐れげもなく非人《ひにん》の槍《やり》を受けた。その祈祷の声と共に、彼の....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
で来た。彼はその悲しみを払うために、そっと泥烏須《デウス》(神)の御名《みな》を
唱えた。が、悲しみは消えないばかりか、前よりは一層彼の胸へ、重苦しい空気を拡げ出....
「葱」より 著者:芥川竜之介
くべき秘密の呪文《じゅもん》を心得ているアリ・ババとさらに違いはない。その呪文が
唱えられた時、いかなる未知の歓楽境がお君さんの前に出現するか。――さっきから月を....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
で行った。死ぬ前には頭も狂ったと見え「あんなに旗を立てた軍艦が来た。みんな万歳を
唱えろ」などと言った。僕は僕の父の葬式がどんなものだったか覚えていない。唯《ただ....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
を忘れそうな危険に脅《おびやか》され始めました。そうかと云って、あの婆は、呪文を
唱える暇もぬかりなく、じっとこちらの顔色を窺いすましているのですから、隙《すき》....
「広津氏に答う」より 著者:有島武郎
的要素をたぶんに含んでいたからだといわねばならぬ。そしてこの思想がかくばかり早く
唱えだされたということは、決して無益でも徒労でもないといいたい。なぜならば、かく....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
た考え方をしていたもののようである。 この考えはまた、近代の若干の学者によって
唱えられたごとく、現在生物の生息する地球の部分は、いつかは一度荒廃して住まわれな....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の相違もございますまい。私達とて矢張り御神前に静座して、心に天照大御神様の御名を
唱え、又八百万の神々にお願いして、できる丈きたない考えを払いのける事に精神を打ち....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
ないどころか普通の常識にも負くるような、愚劣低級な囈語を以て、神懸りの産物なりと
唱え、大なり、小なり始末に負えぬ特殊部落を作って、神聖なる国土を汚している連中が....
「我が宗教観」より 著者:淡島寒月
の内でも空也は若い頃本山から吉阿弥の号を貰って、瓢を叩いては「なアもうだ/\」を
唱えていた位に帰依していたのでありました。それから後には神官を望んで、白服を着て....
「凧の話」より 著者:淡島寒月
、その後は余り揚げる子供もなくなって、三月に這入ると、もう「三月の下り凧」と俗に
唱えて、この時分に凧を揚げると笑われたものであった。 さておしまいに、手元に書....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
人の婆さんは、ランプを消した二階の部屋の机に、魔法の書物を拡げながら、頻に呪文を
唱えていました。書物は香炉の火の光に、暗い中でも文字だけは、ぼんやり浮き上らせて....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
空を渡るとしよう」 鉄冠子はそこにあった青竹を一本拾い上げると、口の中に咒文を
唱えながら、杜子春と一しょにその竹へ、馬にでも乗るように跨りました。すると不思議....
「一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
て来たという事実に立派な裏書をしたものだ。 B 何を言う。そんなら君があの議論を
唱えた時は、君の歌が行きづまった時だったのか。 A そうさ。歌ばかりじゃない、何....