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唱名
「唱名〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
唱名の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
」 第二部 青春の逆説 第一章 一 「……九十、九十一、九十二、九十三……」
唱名のように声をだして、豹一は数を読みつづけて行った。 豹一は顫えていた。声ま....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、恩愛に曳かれて動くのが、筵に響いて身に染みるように、道子の膝は打震いつつ、幽に
唱名の声が漏れる。 「よく御覧なさいましよ。貴女も見せてお上げなさいよ。ああ、暗....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
が聞こえて来た。岩の峡や木の下や茨や藪の中などで、苦行している人々の熱心籠もった
唱名ででもあろう。見れば深夜の闇を破って諸所に火の光りが輝いていた。それは「聖壇....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
えても心の眼は明るくならぬでな。もしめいめいがたが親鸞に相談なさるなら、御熟知の
唱名でよろしいと申しましょう。経釈の聞きぼこりはもってのほかの事じゃ。それよりも....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
、堂に詣って数珠爪繰る時には、一通りの敬虔と尊崇と帰依とを有し、南無妙法蓮華経の
唱名も殊勝である。 但し往くさ来るさの講中の気勢、団扇太鼓の拍子どりして歩む時....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
与えられた。梵天は此世の統治者で、二生の人たる嬰児《えいじ》の将来は、其の前生の
唱名不退の大功徳によって梵天の如くにあるべしという意からの事だ。満海の生れ代りと....
「連環記」より 著者:幸田露伴
生事実の良験を録して、本朝四十余人の伝をものしたのである。清閑の池亭の中、仏前|
唱名の間々に、筆を執って仏|菩薩の引接を承けた善男善女の往迹を物しずかに記した保....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
たじゃアないか……ほんとうに後悔しているなら、日夜二階の部屋へ来て、香でも焚いて
唱名して、お父様の菩提を葬えばよいのだ! ……それを行くまいとして拒むのは、……....
「取舵」より 著者:泉鏡花
も、話相手もあらで無聊に堪えざる身を同じ枕に倒して、時々|南無仏、南無仏と小声に
唱名せり。 抜錨後二時間にして、船は魚津に着きぬ。こは富山県の良港にて、運輸の....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
舌打ちなされます。身を退こうにも行先は無し。御主様に育ての恩はあり、さればとてご
唱名は欠かしたくなし、義理と法に板挟みの揚句が、御念仏を唱えとうてなりませぬ時に....
「随筆 寄席囃子」より 著者:正岡容
ま橘之助最後の夫たる先代圓の門人。すなわち今なお私の、橘之助夫妻のため、毎朝念仏
唱名している所以《ゆえん》である。 さて、そうした縁あればこそだろうか、この頃....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
とけ様は五人と、八郎が云って、五|把、線香を買添えた時「あんやと、あんやと。」と
唱名のごとく呟いて、景物らしく硫黄の附木を束から剥いでくれたのには、私は髣髴とし....
「生不動」より 著者:橘外男
けでも妹さんはきっと助かるぞい! なむあみだぶ! なむあみだぶ!」 と口の中で
唱名を称えているお婆さんもあった。 私はその夜着いたばっかりで、妙な抑揚のある....
「法然行伝」より 著者:中里介山
法蔵比丘《ほうぞうびく》の昔平等の慈悲に催されて普《あまね》く一切を救わんが為に
唱名念仏の本願を建てられたのである。 右の趣旨を多くの経文を引いてつぶさに述べ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ぼろぼろながれて来た。 ――なんまいだ ――なんまいだ 彼は眼をふさいだ。
唱名の声がだんだん唇を破って大きくなって来た。果ては夢中だった。 沢庵はふり顧....