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唸る
「唸る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
唸るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「歯車」より 著者:芥川竜之介
し出した。するとこの漢学者は露骨に不快な表情を示し、少しも僕の顔を見ずに殆ど虎の
唸るように僕の話を截り離した。 「もし堯舜もいなかったとすれば、孔子は※をつかれ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
ははあ、いや、その足拍子を入れられては、やわな謡は断れて飛ぶじゃよ。ははははは、
唸る連中|粉灰じゃて。かたがたこの桑名へ、住替えとやらしたのかの。」 「狐狸や、....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ねる者が多い。怪しからぬのは、鼻風邪ごときで入院して、貴女のお手ずからお薬を、と
唸ると云うが、まさかであろう。 で――この事たるや、夫の医学士、名は理順と云う....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
の裏で、頻にぶつぶつと念じています。 その舌の縺れたような、便のない声を、蚊の
唸る中に聞きながら、私がうとうとしかけました時でした。密と一人が揺ぶり起して、 ....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
るその橋向へ、犬が三疋と押寄せて、前脚を突立てたんだ。吠える、吠える! うう、と
唸る、びょうびょう歯向く。変に一面の水に響いて、心細くなるまで凄かった。 (あち....
「暗号音盤事件」より 著者:海野十三
叉から出る正しい振動数の音とが互に干渉し合って、また別に第三の音――一|種異様な
唸る音が聴えはじめたのであった。が、それはまだ成功とはいえなかったけれど、白木の....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
関大尉はどっしりした声に、笑みをふくんでいった。 「うむ、――」 提督は、もう
唸るばかりだ。銀色の頭髪が、かすかに震えている。 「提督。今日までに、よそながら....
「怪塔王」より 著者:海野十三
にかたくなってしまいました。 「ねえ、おじさん、どうしよう」 「うむ」 帆村は
唸るばかりでありました。 するとつづいて、塔の上からまた破鐘のような声がひびい....
「奇賊は支払う」より 著者:海野十三
は先生もご存じないことなんでしょうね」 「ふうん。それは意外……」 探偵猫々は
唸る外なかった。 「その間烏啼と何をしていたかといいますと、彼烏啼は家内からポテ....
「地球盗難」より 著者:海野十三
まち針が飛んでしまった。 「ううむ。なんたることじゃ」 博士は獣のように、低く
唸ると、どっかと座席の上に腰を下ろして、両手で頭を抱えた。 「う、うッ……分らん....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
名状し難い異様な物音が聞えて来たのだ。 瞬間、二人は息を呑んで聞耳を立てた。が
唸るとも響くともつかぬその物音は、すぐにやんで、あとは又元の静けさに返って行った....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
扉へ、大粒な雨が、激しい音を立てて、横降りに吹き当り始めた。 高く、或は低く、
唸るような風の音が、直ぐ眼の下の断崖から、岩壁に逆巻く磯浪の咆哮に反響して、物凄....
「白妖」より 著者:大阪圭吉
部補は、暫くの間、空の車庫をあちこちと調べていたが、やがて「ウーム」と呟くように
唸ると、屈みながら顫える手でハンケチをとり出し、そいつで包むようにしながら、床の....
「死神」より 著者:岡崎雪声
何かに襲われるといったような事がある、もしこの場合に、謡曲の好きな人なら、それを
唸るとか、詩吟を口吟むとか、清元をやるとか、何か気を紛らして、そんな満らぬ考を打....
「河明り」より 著者:岡本かの子
だけが抉り取られて、日本の景色を見慣れた私たちの感覚に現実感を与える。 天井に
唸る電気扇の真下に居て、けむるような睫毛を瞳に冠せ、この娘特有の霞性をいよいよ全....