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唸声
「唸声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
唸声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
、太岩魚、化ける鳥は鷺、山鳥。声は梟、山伏の吹く貝、磔場の夜半の竹法螺、焼跡の呻
唸声。 蛇ヶ窪の非常汽笛、箒川の悲鳴などは、一座にまさしく聞いた人があって、そ....
「空襲警報」より 著者:海野十三
くり、瓦斯の臭をかぎわけようとつとめた。 地上の地獄 ウウウーと、物凄い
唸声をあげて、真赤な消防自動車が、砲弾のように坂を駈け上っていった。麻布の方に、....
「空中墳墓」より 著者:海野十三
腕をさけると、三度目には身を沈め、下から相手の脾腹を突き上げた。ウームと恐ろしい
唸声がして私の目の前に大きな身体がドサリとぶったおれた。 やっと起き上って来た....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
其の藪垣の間から栗の大木が七八本|聳えていた。トムは橋の中央に走り出でて、凄じい
唸声を揚げているのである。 「トム、トム……。」と、市郎は先ず声をかけながら不図....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
を仕たくも、不思議なるかな、些とも出来んわい。其儘で暫く経つ。竈馬の啼く音、蜂の
唸声の外には何も聞えん。少焉あって、一しきり藻掻いて、体の下になった右手をやッと....
「奇巌城」より 著者:菊池寛
、罵る音、叫ぶ声、最後に喉でも突き刺されたような恐ろしい、物凄い、荒々しい悲鳴、
唸声がする。 レイモンドは戸の方に飛んだ。シュザンヌは泣き叫んでその腕に取り縋....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
の頻繁に目の前を汽車が往復した家とは比較になりません。ただ夜更には動物園の猛獣の
唸声がすると、女中たちはこわがりました。 お部屋へは、よくお客が見えます。それ....
「予謀殺人」より 著者:妹尾アキ夫
ーだった。だが、倒れた時にはすでに勝負はついていた。プラットは泡立つような最後の
唸声をあげ、それからペンベリーをつかんでいた指をゆるめて、ぐったりとなった。彼を....
「虎媛」より 著者:田中貢太郎
師は鬚を引っぱることを止めると、その禿頭を虎の口へ持って往った。と、見る間に虎の
唸声が聞えて、老人の顔には真赤な血がかかった。 見物人は驚きの声をあげて柵を放....
「火傷した神様」より 著者:田中貢太郎
、火が燃えつきます、神様」 雉の声がやっと通じたのか、来宮様はううと云うような
唸声を出した。雉は此処ぞと思って、 「起きてください、火事です、火が燃えつきます....
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
なかで寝苦しい体を持余《もてあま》していたことがあった。酸《す》っぱいような蚊の
唸声《うなりごえ》が夢現《ゆめうつつ》のような彼女のいらいらしい心を責苛《せめさ....
「永日小品」より 著者:夏目漱石
ばい》になっていたが、やがて、自分の捕《と》った魚を取り上げられる時に出すような
唸声《うなりごえ》を挙《あ》げた。この時変だなと気がついたのは自分だけである。小....
「海豹島」より 著者:久生十蘭
中をこちらへ向け、前鰭で頭を抱えるようにして、おとなしく眠っていた。これが昨夜の
唸声の主なのであった。 どうしてこんなところに膃肭獣がいるのかとたずねると、狭....
「P丘の殺人事件」より 著者:松本泰
二週間前に倫敦へ着いた事を知った。 林が町で夜食をしてから旅館へ帰ると、微かな
唸声が隣室に聞えていた。コルトンがまだ戻っていない事は帳場で確めてある。林は不思....
「斬られの仙太」より 著者:三好十郎
がら暫く自分の前を見詰めて立っていたが、足が身体を支えきれなくなって、アムと低い
唸声を出したまま前にのめり、うつ伏せに地に転がる) 段六 こ、これ! どうしたの....