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「唾液〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

唾液の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
人が不作法なフロックコートを着て出て来た。何かわからない言葉で喋《しやべ》った。唾液をとばしている様子で、褪《さ》めた唇の両端に白く唾がたまっていた。 「なんて....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
逆さに吊し上げ、その足首に唇を当てがって、さも愛撫するように舐《な》めはじめた。唾液がぬるぬると足首から滴り下《お》ち、それが、ふっ切れた膿《うみ》のように思え....
軍用鮫」より 著者:海野十三
は、ただちにきりきりとおっ立ち、歯齦《はぐき》のあたりから鋼鉄を熔かす性質のある唾液が泉のように湧いてくるのであります」 と、黄博士は、虎鮫の条件反射について....
渦巻ける烏の群」より 著者:黒島伝治
、喉頭が、マラソン競走をしたあとのように、乾燥し、硬《こわ》ばりついている。彼は唾液《つばき》を出して、のどを湿そうとしたが、その唾液が出てきなかった。雪の上に....
爬虫館事件」より 著者:海野十三
料であると共に、貴重な兇器を生むものだった。私どもはよく医学教室で、犬を手術し、唾液腺を体外へ引張り出して置いて、これにうまそうな餌を見せることにより、体外の容....
食魔」より 著者:岡本かの子
きた。滓というほどのものも残らない。 「口惜しいけれど、おいしいわよ」 お絹は唾液がにじんだ脣の角を手の甲でちょっと押えてこういった。 「うまかろう。だから食....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
て、頭上の黒煙に物々しい生動を起しはじめた。それでなくても検事と熊城は、唇が割れ唾液が涸いて、ただひたすらに、法水の持ち出した奇矯転倒の世界が、一つ大きな蜻蛉が....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
い舌で嘗め廻した。 獣には獣の治療法があった。彼ら特色の治療法であった。彼らの唾液は薬であった。暖かい舌で嘗め廻すことは、温湿布に当たっていた。鏡葉之助の体に....
時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
と聞いた途端に、博士はまるで条件反射の実験台の犬のように、どうと口中に湧き出でた唾液を持てあましながら、半ば夢中になって隣室へ駆け込んだ。 「いやあ、これは偉大....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
金を私に手渡したりした。彼は怒りっぽく、怒鳴りつけることが度々あった。どもりで、唾液をそこらにまき散らす癖があった。 「わしのパイプ、パパパイプは」 これは毎....
明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
ばというので、犬になめさせた。 なぜなら、破傷風の特効薬は洋の東西を問わず犬の唾液から製する。目下それ以外に製法がないということを伝え聞いていたからである。破....
越後の闘牛」より 著者:佐藤垢石
私は長い間随分肉類に飢えてきているなど、ひとりでに妙な考えが頭に浮かんで、思わず唾液を舌に絡ませた。徳蔵牛は、二百貫を越えているだろう。 三 東西から出た....
海豚と河豚」より 著者:佐藤垢石
よく食えるものである。牛のひれ肉よりもっと柔らかい。そして、薄い脂肪がほんのりと唾液を誘う。肉片の適当に分解したところを捕らえた烹調の旨味は、昔の料理書にある熟....
百喩経」より 著者:岡本かの子
くなってそれから土気色になった。口に一ぱい詰めた生米は程よく乾いていたので少々の唾液では嚥み下せなかった。まして新妻の前で吐き出すことはどうしても出来なかった。....
新案探偵法」より 著者:小酒井不木
つかろうとすると、眼瞼は所謂反射的に閉じます。又うまいものを眼の前に出されると、唾液が反射的に分泌されます。 かくの如き反射運動は言う迄もなく人間以外の動物に....