» 啜泣

「啜泣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

啜泣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
クララの出家」より 著者:有島武郎
棚のようなものに支えられて、膝がしらも堅い足場を得ていた。クララは改悛者のように啜泣きながら、棚らしいものの上に組み合せた腕の間に顔を埋めた。 泣いてる中にク....
星座」より 著者:有島武郎
の後姿を見つめながら、これを思いだすと、涙がまたもや眼頭から熱く流れだしてきた。啜泣《すすりな》きになろうとするのをじっと堪えた。……不断は柔和で打ち沈んだ父だ....
註文帳」より 著者:泉鏡花
きく、佳い手で脇屋欽之助つま、と記して安かに目を瞑った。 一座粛然。 作平は啜泣をしながら、 「おめでてえな。」 五助が握拳を膝に置いて、 「お若さん、喜びねえ。」 明治三十四(一九〇一)年一月....
南地心中」より 著者:泉鏡花
水を打ったよう、千百の見物が、目も口も頭も肩も、幅の広いただ一|人の形になって、啜泣きの声ばかり、誰が持った手巾も、夜会草の花を昼間見るように、ぐっしょり萎んで....
むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
彼の周囲を取り巻きました。 新生寺さんは眼を閉ったまま、身動きもいたしません。啜泣きの声が、あっちこっちから聞えます。もう息を引き取ったのか知らと思って、苦悶....
竹の木戸」より 著者:国木田独歩
冷た飯へ白湯を注けて沢庵をバリバリ、待ち兼た風に食い初めた。 布団の中でお源が啜泣する声が聞えたが磯には香物を噛む音と飯を流し込む音と、美味いので夢中になって....
」より 著者:島崎藤村
休みですか」 と声を掛ける。三吉の方では返事もせずに、沈まり返っていた。お雪の啜泣の声が聞えた。 「貴方、御休みですか」 と復た呼ぶので、三吉は眠いところを....
」より 著者:島崎藤村
お俊の眼からは涙が流れて来た。彼女は手で顔を掩うて、自分の生涯を思い出しては半ば啜泣くという風であった。一寸縁側へ出て見て、復た叔父の方へ来た。 「叔父さんは…....
旧主人」より 著者:島崎藤村
出て、籠の中の鳥のように東京の空を御眺めなさることもあり、長い御手紙を書きながら啜泣《すすりなき》をなさることも有ました。時によると、御寝衣《おねまき》のまま、....
新生」より 著者:島崎藤村
で知らなかった自分の妻の傍に居ることを知るように成った。彼が妻の懐《ふところ》に啜泣《すすりなき》しても足りないほどの遣瀬《やるせ》ないこころを持ち、ある時は蕩....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
いた。少年は腑に落ちなさそうに、老文豪のこうした素振に見とれていたが、ふと微かな啜泣きの声を聞きつけて、あたりを見廻すと、それは娘さんのせいだとわかった。娘さん....
唖娘スバー」より 著者:タゴールラビンドラナート
の鳴いている樹から、静かな星に至る迄、其処には、言葉に表わさない合図や、身振り、啜泣、吐息などほか、何もありません。 深い真昼時、船頭や漁夫は食事に行き、村人....
あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
さま、自分の声を揺って笑ってみようと決心したのであった。――この瞬間、何ものかの啜泣《すすりな》く響が、彼の耳もとをとぎれとぎれに過ぎていた。そうして屋外は恐ら....
彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
耳に絶えず送った。彼女はこの雨の中で、時々宵子の顔に当てた晒《さらし》を取っては啜泣《すすりなき》をしているうちに夜が明けた。 その日は女がみんなして宵子の経....
痴人と死と」より 著者:ホーフマンスタールフーゴー・フォン
事はない。ついぞ誠の嘆《なげき》にこの体を揺《ゆす》られた事は無い。ついぞ一人で啜泣《すすりなき》をしながら寂しい道を歩いた事はない。どうかした拍子でふいと自然....