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「啼声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

啼声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
「ついて来《こ》う」 そういって彼れはすたすたと国道の方に出て行った。簡単な啼声《なきごえ》で動物と動物とが互《たがい》を理解し合うように、妻は仁右衛門のし....
ある心の風景」より 著者:梶井基次郎
帰って、すぐ彼は「ビール」と小婢《こおんな》に言いつけた。 ジュ、ジュクと雀の啼声《なきごえ》が樋《とゆ》にしていた。喬は朝靄《あさもや》のなかに明けて行く水....
クララの出家」より 著者:有島武郎
ず、軒なみの店ももう仕舞って寝しずまったらしい。女猫を慕う男猫の思い入ったような啼声が時折り聞こえる外には、クララの部屋の時計の重子が静かに下りて歯車をきしらせ....
霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
ッと見開いて、自分の前の青年をはったとにらみつけ、 「けけッけッけ」 と、鳥の啼声《なきごえ》のような声をたてた。 そのとき来会者たちは、聖壇の上に、無声《....
怪塔王」より 著者:海野十三
れ目へとびこみましたが、しばらくすると、「けけけけ」と、聞くのもぞっとするような啼声をたてて、また帆村のいる方へ、とびもどってまいりました。 (どうも様子が変だ....
こま犬」より 著者:岡本綺堂
ほんとうだそうですよ。」と、またその隣りにいる四十ぐらいの男が言った。「現にその啼声を聞いたという者が幾人もありますからね。」 「蛙じゃないのかね。」と、山木は....
南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
てしまった。だんだん山路が険しくなる。いよいよ木立が繁り増さり、気味の悪い夜鳥の啼声がする。 巫女はズンズン歩いて行く。 「一体どこまで行くのだろう?」若武士....
鸚鵡蔵代首伝説」より 著者:国枝史郎
言葉や、親切の態度に触れたので、ホッとしたのであった。 犬ともつかず、何の獣の啼声とも知れない啼声が、戸外から鋭く聞こえてきた。昼でもこの辺りでは啼くという、....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
そういう林であり藪地なのであった。 と、その林の奥の方から、キ――ッという猿の啼声が、物悲しそうに聞こえてきた。 (おや)と主税は足を止めた。 (いかに藪地で....
二人町奴」より 著者:国枝史郎
に息を呑んだ。と、にわかに反動的に、浅草の境内ひっそりとなり、昔ながらに居る鳩の啼声ばかりが際立って聞こえる。 土岐与左衛門これも免許、その流儀は無念流しかも....
剣侠」より 著者:国枝史郎
らねえ。そういう立場に立っている。ヨーシそれではこの機会に……) 折柄三番鶏の啼声がし、夜がそろそろ明けかけた。 (よし)と林蔵は立ち上り、身仕度をすると階下....
一寸怪」より 著者:泉鏡花
ないような一種の動物だそうだ。 猫の面で、犬の胴、狐の尻尾で、大さは鼬の如く、啼声鵺に似たりとしてある。追て可考。....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
、 この滑っこい岩壁の、遠くまで鏡のように光っているのに身を寄せましょう。 鳥の啼声でも、葦の笛の音でも、よしやパンの神の恐ろしい声であろうとも、どんな声にも ....
名もなき草」より 著者:小川未明
無心に子供の吹く笛のごときであってもいゝ。また、林に鳴る北風の唄でもいゝ。小鳥の啼声でもいゝ。時に、私達は、恍惚として、それに聞きとられることがある。そして、そ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
自身も飛び出してしまった。 やれやれと私は思った。それからくるっくるっの子鴉の啼声になったのである。 私は浴衣の肩や膝や畳の上に巻煙草の灰ばかり落して、手は....