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善い
「善い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
善いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
云う父の気もちに始めのうちは嫌悪を感じていた。「ちっとはお母さんの手前も考えれば
善いのに、」――そんなことも度たび考えたりした。尤《もっと》もお鳥は何ごとも詮《....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
ひそかに、「質疑なら明日《みょうにち》講演場で伺いましょう。」と云う体《てい》の
善い撃退の文句を用意していた。しかし相手はやはり顔の筋肉一つ動かさないで、じっと....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
ずつ違うようですし、またその違う訣《わけ》もわからないようです。」
僕「しかし
善いものならば売れるでしょう?」
老人「さあ、それもどうですかね。一体野菜の善....
「彼」より 著者:芥川竜之介
か? 今度君が来る時で善《い》いから。」
「どんな本を?」
「天才の伝記か何かが
善い。」
「じゃジァン・クリストフを持って来ようか?」
「ああ、何でも旺盛《おう....
「古千屋」より 著者:芥川竜之介
うど朝日に輝いている薄《うす》ら氷《ひ》に近いものを与えていた。
「善《よ》い。
善い。もう下《さが》って休息せい。」
直孝は古千屋を退けた後《のち》、もう一度....
「蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
家に火をつけたり、いろいろ悪事を働いた大泥坊でございますが、それでもたった一つ、
善い事を致した覚えがございます。と申しますのは、ある時この男が深い林の中を通りま....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
中《うち》には、きっと仙人にして見せるから。」
「左様《さよう》ですか? それは
善い事を伺いました。では何分願います。どうも仙人と御医者様とは、どこか縁が近いよ....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ります。しかしその『半ば』なるものは『より悪い半ば』でなければなりません。『より
善い半ば』を肯定することは頗《すこぶ》るこの論法には危険であります。
「たとえば....
「運」より 著者:芥川竜之介
が上らなくちゃ、やりきれない。」
「御冗談《ごじようだん》で。」
「なに、これで
善い運が授《さず》かるとなれば、私だって、信心をするよ。日参をしたって、参籠《さ....
「女仙」より 著者:芥川竜之介
ありませんか! 「これは一体どうしたのです? 何もこういう年よりを、擲らないでも
善いじゃありませんか!――」 書生は彼女の手を抑え、熱心にたしなめにかかりまし....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
て云うんですが」 「昼間でもね」 僕は冬の西日の当った向うの松山を眺めながら、
善い加減に調子を合せていた。 「尤も天気の
善い日には出ないそうです。一番多いのは....
「兄貴のような心持」より 著者:芥川竜之介
のは、菊池と一しょにいると、何時も兄貴と一しょにいるような心もちがする。こっちの
善い所は勿論了解してくれるし、よしんば悪い所を出しても同情してくれそうな心もちが....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
た。その為に善くも悪くも、いろいろな誤解を受けているらしい。江口を快男児にするも
善い誤解の一つだ。悪い誤解の一つは江口を粗笨漢扱いにしている。それらの誤解はいず....
「久米正雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
現在の文壇で幾人も久米の右へ出るものはないでしょう。 勿論田舎者らしい所にも、
善い点がないと云うのではありません。いや、寧ろ久米のフォルトたる一面は、そこにあ....
「滝田哲太郎氏」より 著者:芥川竜之介
の文芸の外にも書画や骨董を愛していた。僕は今人の作品の外にも、椿岳や雲坪の出来の
善いものを幾つか滝田君に見せて貰った。勿論僕の見なかったものにもまだ逸品は多いで....