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「善くも〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

善くもの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ていた。「これも近所町内の評判は別に悪くもねえようです。万次郎と同じことで、まあ善くも無し、悪くも無しでしょうね。だが、旧い店だけに身上は悪くも無いらしく、淀橋....
浮雲」より 著者:二葉亭四迷
ながら、いつ来るともなく番町へ来て、例の教師の家を訪問《おとずれ》てみた。 折善くもう学校から帰ッていたので、すぐ面会した。が、授業の模様、旧生徒の噂《うわさ....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
はしかたがない。しかしその位を捨てないのは正しいかどうか。富んでるということは、善くも、悪くも無いことではなく、それ自身悪いことである(もし愛を善しと見るならば....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
て来た時、何処からか敏捷に飛出して来て脚元に戯れついた若い狗の首に着いていた余り善くも鳴らぬ小さな鈴の音であることを知った。随って新に何人かが此家へ音ずれたこと....
江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
とうの江口になり切った時だ。 江口は過去に於て屡弁難攻撃の筆を弄した。その為に善くも悪くも、いろいろな誤解を受けているらしい。江口を快男児にするも善い誤解の一....
自警録」より 著者:新渡戸稲造
われの感覚《かんかく》といわゆる人情《にんじょう》との二つを含むものであるから、善くもとれるし、悪くもとれると同じく、正しきにも走り、正しからざるにも走りやすい....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
に対する批評はいつでもこの衝動的な実行に向けられる。一度念頭に湧き上ったものを、善くも悪しくも、直ちに実行する。泡鳴の生活はそれほどまでに簡単である。他人の批評....
瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
れを示すはただ貴君と木村芥舟翁とのみとて、その大意を語られしに、翁は非常に喜び、善くも書かれたり、ゆるゆる熟読したきにつき暫時拝借を請うとありければ、その稿本を....
夜の道づれ」より 著者:三好十郎
から、完全に絶望している。人間は、そう急には、これ以上にも、これ以下にも、大して善くも惡くもなりはしない。人生は此處に在る。そのまんなかに、われわれは既に投げこ....
病牀苦語」より 著者:正岡子規
固より宗教を理窟詰にしようという考えであったから、唯物論に傾いていた僕には何だか善くもわからぬ癖に、耶蘇《ヤソ》教でも仏教でもただ頭から嫌いで仕方がなかった。そ....
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
もなります。名前は何とあっても同じことでありまして、その内容によって名前の意味は善くも悪しくも変るものであります。貴公とか貴様とかいうことは、この上もなく先方を....
早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
かかっていたので、そういう方面には全く意気地がなかったよ。それにこの頃のように、善くも悪くも簡単に女の見られるカッフエなんていうものはなしさ、精々三度に一度位、....
大岡越前」より 著者:吉川英治
間の世界は、そうした情のうるおいや張りあいのみが、助けでおざるし、いささか人間を善くもするものでございましょうな。……で、お目にかけたい物があります」 楽翁は....