善玉[語句情報] » 善玉

「善玉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

善玉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二十世紀旗手」より 著者:太宰治
れたく思って、どんどん道路横断、三里のみちを歩きながら、思うことには、人間すべて善玉だ。豪雨の一夜、郊外の泥道、這うようにして荻窪の郵便局へたどりついて一刻争う....
満願」より 著者:太宰治
がはずんだ。お医者の世界観は、原始二元論ともいうべきもので、世の中の有様をすべて善玉悪玉の合戦と見て、なかなか歯切れがよかった。私は愛という単一神を信じたく内心....
仇討たれ戯作」より 著者:林不忘
、時の政道のそれとない批判まで織りこむようになり、寛政度のお叱りにあって一転し、善玉悪玉の教訓物となったが、やがてそれもあかれて今この実説風の敵討物万能となった....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
ましょう?」 「黒法師とでも云って置こう。また悪玉と云ってもよい。したがって私は善玉で。……三世を貫く因果なるものはこの善玉と悪玉との勝負闘争に他ならない。……....
社会時評」より 著者:戸坂潤
とであり、又「泰西文明の無批判的吸収」と「知育偏重」とである。之に対立させられる善玉としては、「国家観念と道義観念」や「質実剛健」「実務的実際的教育」などが挙げ....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
をされない稽古棒を持出して、息杖につくのだそうで。……これで戻駕籠でも思出すか、善玉の櫂でも使えば殊勝だけれども、疼痛疼痛、「お京何をする。」……はずんで、脊骨....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
する。従ってどんな悪霊でも悉く神の子であり、神界の統治下にあるのである。抽象的の善玉、悪玉の永遠の争闘の如き思想は、一時も早く排斥すべきである。同時に霊界を一の....
丹下左膳」より 著者:林不忘
な謎《なぞ》。 それは、人間である。 人のこころの底の底まで温く知りぬいて、善玉《ぜんだま》悪玉《あくだま》を一眼見わけるおっかない大岡様。 たいがいの悪....
スポーツ・文学・政治」より 著者:坂口安吾
いのはたんに末端だけじゃないね。 石川淳さんは、もし党員になったら、モノスゴイ善玉悪玉小説を書く、すべての資本家は悪玉で、労働者はことごとく善玉に書く、と云っ....
貞操問答」より 著者:菊池寛
ぞろ座席へ行く、人混の中で別れた。 やはり小さい子供達同士の「三社祭」の悪玉、善玉の踊りが終ると、夫人はサッサと退場して自分の自動車へ行ってみると、木賀はもう....
次郎物語」より 著者:下村湖人
ことになってはならないって、いつもそれを心配していられたんだ。生徒には、もともと善玉も悪玉もない。それが、はっきり善玉と悪玉とにわかれてしまって、学校が、やむを....
茶番に寄せて」より 著者:坂口安吾
程度には物識りだ。即ち泥棒も牧師くらい善人なら、牧師も泥棒くらい悪人なのである。善玉悪玉の批判はない。人性の矛盾撞着がそっくりそのまま肯定されているばかり。どこ....
講談先生」より 著者:坂口安吾
い。 日本の講談には語り手の性格がないように、語られている人物にも性格がない。善玉悪玉の型があるばかりである。これは演者の教養や観点が固定しているからで、こう....
土から手が」より 著者:牧逸馬
、この人は何うもと首を捻ったのへも鉛筆でしるしを附けて置いて、次ぎにガフは、その善玉の五人を順に訪問して個々の悪玉の評判を訊いて歩いた。斯うして五人の独立した意....
小説 円朝」より 著者:正岡容
。 さらに低く口のうちで呟いた、声ならぬ声へ心で最敬礼をしながら。「三社祭」の善玉《ぜんだま》のような自分と同じ木綿の黒紋付を着た自分の「心」というやつが、し....