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「喉元〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

喉元の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
同情してくれたのに相違ございません。それがどう云うものか、云おうとするとたちまち喉元《のどもと》にこびりついて、一言《ひとこと》も舌が動かなくなってしまうのでご....
毛利先生」より 著者:芥川竜之介
ほとんどあの紫の襟飾《ネクタイ》を引きちぎりはしないかと思うほど、頻《しきり》に喉元《のどもと》へ手をやりながら、当惑そうな顔をあげて、慌《あわただ》しく自分た....
銀座幽霊」より 著者:大阪圭吉
「……房……房枝……」 と蚊細い声で呻いたまま、ガックリなってしまった。 咽喉元へ斬りつけられたと見えて、鋭い刃物の創が二筋ほどえぐるように引ッ掻かれていた....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
にそれが秀江の姿でもあることを想像した。すると熱いものが脊髄の両側を駆け上って、喉元を切なく衝き上げて来る。彼は唇を噛んでそれを顎の辺で喰い止めた。 「おれは平....
光の中に」より 著者:金史良
て放さなかった。今に悲鳴でも出しそうだった。 「母ちゃんの見舞に来たんだね」私は喉元が熱くなるのを感じながら云った。非常に感動したのだった。「母ちゃんは今も君が....
観画談」より 著者:幸田露伴
いことをいったが、晩成先生はただもうビクビクワナワナで、批評の余地などは、よほど喉元過ぎて怖いことが糞になった時分まではあり得はしなかった。 路は一しきり大に....
天馬」より 著者:金史良
か李はぶるぶる神経の一つ一つをふるわせているようである。突然李は興奮のあまりに、喉元をごくごくさせつつ、 「それは自明なことだ」と叫ぶのだった。「朝鮮語でなくて....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
新吉は昨晩レストラン・マキシムで無暗にあおったシャンパンの酸味が爛れた胃壁から咽喉元へ伝い上って来るのに噎び返りながらテーブルの前へ起きて来た。吐気に抵抗しなが....
松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
提げておりました所の關の兼元の刄の方へ両手を掛けて自らぐっと首筋をさし附けて、咽喉元をがっくり、あっと云って前へのめるから、 山「あゝ粥河|汝は自害致すか」 圖....
現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
ない気持である。チンピラどもに捩じふせられて一向に本領を発揮できなかった不快さが喉元につまっているが、敵の本営だから今日のところは仕方がない。明日は自分の本営だ....
塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
逃げて往く。手負はうんとばかりにのたりまわるを、丹治は足を踏み掛けて刀を取直し、喉元をプツリと刺し貫き、こじられて其の儘|気息は絶えました。丹治は死骸の衣服で刀....
予告殺人事件」より 著者:坂口安吾
壕生活も板につけば忽ち悠々たる日常性をとりもどしてしまう。爆撃中は縮みあがるが、喉元すぎれば忽ち忘れる。私の隣組には幼児や老人達がたくさんいるが、物資の不足とい....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
あっはっは。」とAさんが笑い出した。「それはお苦しい。」 「ええ、そのぉ、こう咽喉元まで詰め込んだやつを、正直に、や、もう真平とでもいおうものなら、それ、また一....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
は、(不幸を携えて君たちに再会するということは)僕には耐えがたい。――僕は運命の喉元を締めつけてやりたい。どんなことがあっても運命に打ち負かされきりになってはや....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
るであろう、惜しいことをしたものだなぞと、身一つを辛くも此処まで運んで来ながら、喉元過ぎて熱さを忘れた私達は早やそんな贅沢なことを考えていた。空は何時の間にかす....