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喚ぶ
「喚ぶ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
喚ぶの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
間、すなわちダンネベルグ夫人が死体となっていた室で、まず最初の喚問者として伸子を
喚ぶことになった。そして、彼女が来るまでの間に、どこからとなく法水の神経に、後に....
「瓶詰地獄」より 著者:夢野久作
になって辷りながら、岬の大磐の上に這い上りました。キチガイのように暴れ狂い、哭き
喚ぶアヤ子を、両腕にシッカリと抱き抱えて、身体中血だらけになって、やっとの思いで....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
の者ありて募りに応じ、甲冑を著《ちゃく》し刀杖を執って夜塚間に至ると、果して王を
喚ぶ声す。汝は何者ぞと叱ると、我は伏蔵だと答えた。伏蔵とは「田原藤太竜宮入りの譚....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
当って見ると、この歌一首だけのようである。 ○ さを鹿の妻
喚ぶ山の岳辺なる早田は苅らじ霜は零るとも 〔巻十・二二二〇〕 作者不詳 早稲田....
「道成寺(一幕劇)」より 著者:郡虎彦
の、ゆらめき漂う煙にも似し悲鳴のごとく、またたとえば直ちに腸を引きさかるる人間の
喚ぶに似たり。迸り出づる血の絶叫と、ねじりし出でし苦悶の声と、交々にたえだえにき....
「糸くず」より 著者:国木田独歩
。この群集の海の表面に現われ見えるのは牛の角と豪農の高帽と婦人の帽の飾りである。
喚ぶ声、叫ぶ声、軋る声、相応じて熱閙をきわめている。その中にも百姓の強壮な肺の臓....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
れたひまに精一杯の勇気を振起して口をひらいた。だが、どうしたわけか洋先生と、彼を
喚ぶことが出来なかった。 話を聴いていた四人の者は喫驚して阿Qの方を見た。洋先....
「絵画の不安」より 著者:中井正一
に濡れているともいえよう。ハイデッガーはいう。この不安こそ、自分が自分の内奥より
喚ぶ言葉なき言葉への悪寒のごとき畏れである。自分が自分よりすり抜けること、自分が....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
顆の明珠皆楚宝 就中|一顆最も無双 妙椿 八百尼公技絶倫 風を呼び雨を
喚ぶ幻神の如し 祠辺の老樹|精萃を蔵す 帳裡の名香美人を現ず 古より乱離皆数あり....
「遠野物語」より 著者:柳田国男
、やにわにその狼の口の中に突き込みしに、狼これを噛む。なお強く突き入れながら人を
喚ぶに、誰も誰も怖れて近よらず。その間に鉄の腕は狼の腹まで入り、狼は苦しまぎれに....
「山の人生」より 著者:柳田国男
行かれるといって、小児を戒める親がまだ多い。村をあるいていて夏の夕方などに、児を
喚ぶ女の金切声をよく聴くのは、夕飯以外に一つにはこの畏怖もあったのだ。だから小学....
「野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
えのころ草という名のこれと同列のものであったことを思わしめる。コロコロは本来狗を
喚ぶ言葉で、多分は「来よ」という語の改造であった。関東地方を始めとして、今でも※....
「野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
月頃は、百舌は沈黙して垣根などをつたいあるき、ただ時々声低く「ほとゝぎすこそ」と
喚ぶばかりだなどといっている。はやにえというのは新鮮なる貢ぎ物、即ち魚類などを貴....