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「喜憂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

喜憂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
外科室」より 著者:泉鏡花
子《いす》に凭《よ》れり。今にはじめぬことながら、ほとんどわが国の上流社会全体の喜憂に関すべき、この大いなる責任を荷《にな》える身の、あたかも晩餐《ばんさん》の....
倫敦消息」より 著者:夏目漱石
にはこんな下等な考は起さなかった。ただ現在に活動しただ現在に義務をつくし現在に悲喜憂苦を感ずるのみで、取越苦労や世迷言や愚痴《ぐち》は口の先ばかりでない腹の中に....
善の研究」より 著者:西田幾多郎
これに耽ける時、我は数理を知ると共にこれを愛しつつあるのである。また我々が他人の喜憂に対して、全く自他の区別がなく、他人の感ずる所を直《ただち》に自己に感じ、共....
号外」より 著者:国木田独歩
彼は生活の意味を得た。と言わんよりもむしろ、国家の大難に当たりてこれを挙国一致で喜憂する事においてその生活の題目を得た。ポーツマウス以後、それがなくなった。 ....
雛妓」より 著者:岡本かの子
あらわな情を見せまいとし、父はまた、父の肩に剰る一家の浮沈に力足らず、わたくしの喜憂に同ずることが出来なかった。若き心を失うまいと誓ったわたくしと逸作との間にも....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
。而して台所の事、拭掃除、何くれとなく妻を手伝うた。家の事情、学校の不平、前途の喜憂、何も打明けて語り、慰められて帰った。妻は次第に彼女を妹の如く愛した。 葛....
石狩川」より 著者:本庄陸男
は、どちらもはなはだ表情に乏しい。彼らの時代がそういうふうに訓練していた。苦楽や喜憂に特別心をみだすほどのことはないのだ。ただその芯《しん》には、つめたい鉄の棒....
二つの場合」より 著者:宮本百合子
作者にとって身近な女主人公の生活を、客観的にひろい社会性の繋りにおいて観て、その喜憂と努力と苦悩とを芸術の中に掌握し活写することを得なかった。作者は、困難な課題....
私の貞操観」より 著者:与謝野晶子
と堅く信じていた。『源氏物語』のような文学書を読んで作中の恋には自分の事のように喜憂することがあっても、それは夢の世界、空想の世界に遊んでいる自分に過ぎなかった....
巴里のむす子へ」より 著者:岡本かの子
に関係している。都合のいいこともあれば都合の悪いこともある。しかし今更このことを喜憂しても始まらない。本能的なものが運命をそう招いたと思うより仕方がない。だが、....
新女大学」より 著者:福沢諭吉
た》るも中らざるも運は天に在り。否な、夫の心次第にて、極楽もあり地獄もあり、苦楽喜憂恰も男子手中の玩弄物と言うも可なり。斯くまでに不安心なる女子の身の上に就き、....
旧藩情」より 著者:福沢諭吉
い》に驚かず、感応《かんのう》の習慣によって然《しか》るものなり。人の心事とその喜憂《きゆう》栄辱《えいじょく》との関係もまた斯《かく》のごとし。喜憂栄辱は常に....
学者安心論」より 著者:福沢諭吉
《まなこ》をおおわれて事物の判断を誤り、現在の得失に終身の力を用いて、永遠重大の喜憂をかえりみざるによりて然るのみ。 内閣にしばしば大臣の進退あり、諸省府に時....
日本男子論」より 著者:福沢諭吉
修めてこれを今日の実際に施すの法|如何《いかん》と尋ぬるに、夫婦利害を共にし苦楽喜憂を共にするは勿論、あるいは一方の心身に苦痛の落ち来《きた》ることもあれば、人....
三国志」より 著者:吉川英治
いわんや全面的な勝敗はまだまだ先が知れん。およそ将たるものは、一勝一敗にいちいち喜憂したりするものではない。こよいはことに夜廻りをきびしくし、すべて、物具を解か....