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喟然
「喟然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
喟然の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
の御機嫌をとるためのこの質問は不思議にも反対の結果を呈出《ていしゅつ》した。彼は
喟然《きぜん》として大息《たいそく》していう。「考《かん》げえるとつまらねえ。い....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
も、私にお飯を炊てくれた婦は、お蔦の他ありません。母親の顔も知らないから、噫、と
喟然として天井を仰いで歎ずるのを見て、誰が赤い顔をしてまで、貸家を聞いて上げまし....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
深い趣味と経験を有って居る。其子の家に滞留中此田川の畔を歩いて、熟々と水を眺め、
喟然として「仁水だ喃」と嘆じた。趣味を先ず第一に見る其子の為にも不仁の水とは云わ....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
《く》いしめたまま暫《しば》らく無言《だんまり》、稍《やや》あッて俄《にわか》に
喟然《きぜん》として歎息して、 「アア、貴嬢は清浄なものだ潔白なものだ……親より....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
機嫌に触れたために、冤罪で殺される忠臣が続々という有様だ。……これを見た呉青秀は
喟然として決するところあり、一番自分の彩筆の力で天子の迷夢を醒まして、国家を泰山....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
た。一度、しかとしめて拱いた腕を解いて、やや震える手さきを、小鬢に密と触れると、
喟然として面を暗うしたのであった。 日南に霜が散ったように、鬢にちらちらと白毛....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ドンとやって、 「糸ちゃん! お互にちっと植上げをする工夫はないかい。」 と、
喟然として歎じて、こんどは、ぐたりとその板へ肘をつく。 「へい、へい、遅わりまし....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
せんか。」 と、もう小児も寝たので、掻巻からするりと出て褄を合わせる。 医師
喟然として、 「宜しく頼む。あとは君にまかせるから、二人して、あの骨をその人だと....
「新疆所感」より 著者:日野強
脆弱(ぜいじゃく)恃むにたらず。想うてこれにいたれば、吾人は新疆の運命に関して、
喟然長大息せざるを得ず。 かつて聞く英国陸軍大佐マークベル氏、北京を発して西北....
「山吹」より 著者:泉鏡花
度。本望です。(草に手をつく)貴方、おなごり惜しゅう存じます。 画家 私こそ。(
喟然とする。) 夫人 爺さん、さあ、行こう。 人形使 ええ、ええ。さようなら旦那....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
「ほほほほほ、」 狐床の火の玉小僧、馬琴の所謂、きはだを甞めたる唖のごとく、
喟然として不言。ちょうど車夫が唐縮緬の風呂敷包を持って来たから、黙って引手繰るよ....
「申訳」より 著者:永井荷風
の卓子に憑《よ》って目には当世婦女の風俗を観、心には前代名家の文章を想い起すや、
喟然《きぜん》としてわが文藻の乏しきを悲しまなければならない。泰西に在っては詩人....