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喪う
「喪う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
喪うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「日本画と線」より 著者:上村松園
鍛錬を軽んじて色を塗る事にばかり苦心をしていられるのは、日本画の持つ独自の特色を
喪うものであると思われまして、誠に残念に思うところでございます。 殊に若い画家....
「暗号音盤事件」より 著者:海野十三
ような新しい説明もないよ。要するに、イギリス政府は、こうなる以前に、早くも本土を
喪うことを勘定にいれて、金貨の入った樽を方々の島や海底に隠したり、艦船用の燃料|....
「蠅」より 著者:海野十三
勝じゃ。一秒間発見が早ければ千人の兵員を救う。一秒間発見が遅ければ、千人の兵員を
喪う。各自は注意を払って、新兵器の潜入を発見せねばならぬ」 並居る幕僚は、思わ....
「唇草」より 著者:岡本かの子
来たとき、珍らしく嬉しそうな顔をして彼女にいった。 「おれがだんだん人事に興味を
喪う人間になるのに引きかえ、千代重君はいつも溌剌としている。生活の組合員としては....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
けのかぐやまでが、儂の心からだんだんと離れて行くのじゃ。……儂はあれを無明の中に
喪うてしまいたくはない。お若い方、現そ身の人なれば、儂に代ってかぐやを信じて下さ....
「岩田夫人の死を悼む」より 著者:岸田国士
はお目にかゝらないのだが、私の印象は多分間違つてはいないと思う。 愛するものを
喪うかなしみは誰でもおなじだ、とはいうものの、岩田君の場合、私は、なにか、ほんと....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
七月二十日。庄原より) 久保正夫氏宛 お手紙読みました。 ひとりの姉を
喪うて二七日の法事もすまぬうちに、尾道から今ひとりの姉の病気篤しとの電話がかかっ....
「黒白ストーリー」より 著者:杉山萠円
商業の卒業免状を家中に見せまわって祝福を受けているところ…… ……震災で両親を
喪うと同時に莫大な遺産を受け継いで喜びと悲しみとに面喰っているところ…… ……....
「死のなかの風景」より 著者:原民喜
た時から、彼をとりまく世界はぼんやりと魔の影につつまれて回転していた。それは妻を
喪う前から、彼の外をとりまいて続いている暗いもの悲しい、破滅の予感にちがいなかっ....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
みしゃそくごぶんりつ》』八に、〈仏、舎衛城に在り、云々。時に一の年少の婦人の夫を
喪う有りて、これなる念《おも》いを作《な》す。我今まさに何許《いず》くかに更に良....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
、芭蕉は実《みの》って死し、竹も蘆も実って死し、騾は孕んで死し、士は貧を以て自ら
喪うと言った。注に騾もし姙めば、母子ともに死すとある(『大明三蔵法数』一九)。『....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
、手長猿が水流中に子の顔を洗うを例示し、北アフリカの某々種の猴どもの牝はその子を
喪うごとに必ず憂死し、猴の孤児は他の牝牡の猴必ずこれを養い取って愛撫すといった。....
「若い母親」より 著者:宮本百合子
邪もひかない男の児をもって、迎えられ送られていた一家の明暮から、思いがけず良人を
喪うという不可抗の不幸もおこって来る。そして、決定的にその女のひとの日々はそのこ....
「姫たちばな」より 著者:室生犀星
一刻の揉み合いであった。だが、橘の顔はぞくぞくするほどの予感で、蒼ざめてその色を
喪うて行った。それは彼らがそのいのちの的を射りあうために遠くに駆って行ったものに....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
めに、二年|前に表医者から小普請医者に貶せられ、一年|前に表医者|介に復し、父を
喪う年の二月に纔に故の表医者に復することが出来たのである。 しかし当時の優善の....