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喪中
「喪中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
喪中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
が死んでみれば、まだ四十九日もたたないうちに、めでたいどころの騒ぎでない。 「服
喪中につき、年賀欠礼|仕候《つかまつりそうろう》」 薄い墨で書いた一札を玄関前....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
った。 一月二十七日に祖父が死んで、七月四日に家督が落ち着いたのだそうである。
喪中は座敷に簾をたれて白日をさえぎり、高声に話しする事も、木綿車を回すことさえも....
「阿繊」より 著者:田中貢太郎
一里あまり離れた所へいったところで、老婆が一人の女を伴れていくのに逢った。それは
喪中であろう、冠から衣服まで皆白いものを着ていた。そして近くへいってみると、どう....
「源氏物語」より 著者:紫式部
さえもん》の庁舎へ斎宮がおはいりになったので、いっそう厳重になった潔斎的な生活に
喪中の人の交渉を遠慮する意味に託《たく》してその人へだけは消息もしないのである。....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
…。
玄関の横手に受付ができて、高弟のひとりが、帳面をまえに控えている。すべて
喪中に使う帳簿は紙を縦にふたつ折りにして、その口のほうを上に向けてとじ、帳の綴り....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
うとする者がなかったのだから。葬式の前の晩にも彼は相変らず酔っ払っていたが、その
喪中の家で、例のいやな古い船唄を彼がのべつに歌っているのを聞くのは、たまらないこ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
もなお生存することに、ある残忍な喜びを見出してるかのようだった。 二人の弟は、
喪中の家の沈黙に慴《おび》えて、急に外へ逃げ出してしまった。ロドルフはテオドル伯....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
きなければならなかった。思ってもみたまえ、フランスの少年らは、敗北の影たちこめた
喪中の家に生まれ、意気|沮喪《そそう》した思想に養われ、血腥《ちなまぐさ》い宿命....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
を反映してほのかに白み、それらのやさしい蜜蜂の群れをながめている。それはあたかも
喪中に降り注ぐ薔薇《ばら》の花である。娘らは修道女の眼前で嬉戯する。森厳なる目つ....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
ちて来た。それは空中を遊び歩いているように見えた。 わたしたちが通って行く道は
喪中のようにしずんでさびしかった。あれきって陰気な野原の上にただ北風のはげしいう....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
下さいと広間へ通された。ミヤ子は一同をむかえて、 「私に何の御用でしょうか」 「
喪中にお騒がせいたしまして、無礼の段おゆるし下さい。今回はまことにおいたわしいこ....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
は、ようやくふたたび決まった。私は父から、数週間の猶予をもらった。そんなに早く、
喪中の家の死んだような平静をあとにして、生活のさなかに突入することは、神聖を冒涜....
「魚妖」より 著者:岡本綺堂
などが出た。 そこへあたかも来あわせたのは、かの鈴木有年であった。有年は実父の
喪中であったが、馬琴が今夜ここへ招かれて来るということを知っていて、食事の済んだ....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
明けゝり今朝の春 甘からぬ屠蘇や旅なる酔心地 うき除夜を壁に向へば影法師 御大
喪中とある故 此春を御慶も言はで雪多し 一年の計は元日にありと申せば随分正月よ....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
起しになりますので、またかと存じたのでございます。それに御近親にご不幸があって御
喪中で、御洋装の時は黒の濃いヴェールを被っていられますので、お顔色などもさっぱり....