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喪服
「喪服〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
喪服の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
出したり、三段抜きの記事を掲《かか》げたりした。何《なん》でもこの記事に従えば、
喪服《もふく》を着た常子はふだんよりも一層にこにこしていたそうである。ある上役《....
「二つの道」より 著者:有島武郎
人でも、思い設けざるこの時かの時、眉目《びもく》の涼しい、額の青白い、夜のごとき
喪服を着たデンマークの公子と面を会わせて、空恐ろしいなつかしさを感ずるではないか....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
まわりを這い歩いていたが、又もや去って水に隠れた。 近所の人は宋にむかって母の
喪服を着けろと勧めたが、たとい形を変じても母はまだ生きているのであると言って、彼....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
リとした疲労の色が現われた。そこへ、法水は和やかな声で訊ねた。
「いや、そういう
喪服なら、きっとすぐに必要でなくなりますよ。もし貴女が鐘鳴器室で見た人物の名が云....
「わが町」より 著者:織田作之助
頭|一昨年の暮に死んでしまいはって……。蝶子はんは葬式にだけは出られるつもりで、
喪服をこしらえたりしたはったのに、葬式に出る資格ない言われて、そんなむごい仕方が....
「黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
儀がしめやかに行われた。 斎主は二川家の相続者たる重武だった。 重武は真白な
喪服をつけて、玉串を捧げて多数の会葬者の見守る中を、しず/\と祭壇に近づいた。 ....
「闘争」より 著者:小酒井不木
「それは、あとでわかるよ。未亡人をつれて来てくれたまえ」 間もなく黒い洋装の
喪服を着た北沢未亡人が連れられて来た。眼の縁が際立って黒かったので、一層チャーミ....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
た。蝋細工のように透きとおった白い顔、そして幾何学的な高い鼻ばしら、漆黒の断髪、
喪服のように真黒なドレス。ひと目でインテリとわかる婦人だった。 奇妙な黒い棺桶....
「落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
のおくやみを流暢にのべてくれました。菊の花が部屋中に香り高く咲き、その中に婦人の
喪服の黒さが目にしみました。兄を私の部屋にやすませてしばらく二人だけでおりました....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
たちがあなたに嫉妬を感じるほどにしてあげます。あなた自身を包もうとしている、あの
喪服を引っぱがしておしまいなさい。わたしは美しいのです。わたしは若いのです。わた....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
がら、わたしの手をにぎる者もあった。顔をそむけて行く者もあった。そういう人たちは
喪服をつけていた。かれらはこの親もない家もない子が救われたのに、なぜかれらの父親....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
囲気がふりまかれそうな観も否めないのだった。 しかし、ウルリーケのすらっとした
喪服姿が、おりからの潮風に煽られて、髪も裾も、たてがみのように靡いているところは....
「チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
火を秉る小厮たち。 序曲を唱う者は一人の青年である。ヴェネチア風の装束、而も黒の
喪服。 序曲を唄う者 では音楽はおやめ下さい。これからわたくしの舞台です。わたく....
「革命の研究」より 著者:大杉栄
どの努力があり、あれほどの崇高い熱誠があり、あれほどの血を流し、あれほどの家族に
喪服を着せ、あれほどの顛覆をして、そしてこんなちっぽけな結果しか得られなかったの....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
いました。そこには必ずあの夫人が来るであろうと思いましたから。果して式の終る頃、
喪服を着た姿を見せました。その優雅さと美しさとは、私の疑惑の眼を充分に覆すだけの....