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喫
「喫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
喫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
にかこじつけましょう。」
「どうかよろしくお願いします。」
大佐に別れた保吉は
喫煙室へ顔を出さずに、誰も人のいない教官室へ帰った。十一月の日の光はちょうど窓を....
「第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
る。が、もしこの手紙を受け取ったとすれば、君は必ず僕の運命に一驚《いっきょう》を
喫《きっ》せずにはいられないであろう。第一に僕はチベットに住んでいる。第二に僕は....
「尼提」より 著者:芥川竜之介
てもの仕合せである。けれども尼提はこう思った時、また如来の向うから歩いて来るのに
喫驚《びっくり》した。
三度目《みたびめ》に尼提の曲った路にも如来は悠々と歩い....
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
すきち》は二階の食堂を出た。文官教官は午飯《ひるめし》の後《のち》はたいてい隣の
喫煙室《きつえんしつ》へはいる。彼は今日はそこへ行かずに、庭へ出る階段を降《くだ....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
ためられて、二列にならんでいました。どの色も美しかったが、とりわけて藍と洋紅とは
喫驚《びっくり》するほど美しいものでした。ジムは僕より身長《せい》が高いくせに、....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
から、晴々しい面色で、覗込んで、 「心当りでも出来たんですか。」 不答。煙草の
喫さしを灰の中へ邪険に突込み、 「何は、どうした。」 と唐突に聞かれたので、小....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
。神の世界に於ては、或は超越的|形而上学の世界に於ては、かかることは捨ておかれぬ
喫緊事として考えられねばならぬだろう。然しながら一箇の人間としての私に取っては、....
「聖書」より 著者:生田春月
て、何とも云えず面白い気持がした。が、そのすぐあとから、自分が毎日敷島を二つ宛|
喫うことを思出して、惜しいような気がした。何が惜しいのかわからないが、兎に角惜し....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
管はいつも座右に、いまも持って、巻莨の空缶の粉煙草を捻りながら、余りの事に、まだ
喫む隙を見出さなかった、その煙管を片手に急いで立って、机の前の肱掛窓の障子を開け....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
着いて、一膝下って向うへ圧して、 「お前さん、煙草は?」 黙って莞爾する。 「
喫むだろう。」 「生意気でございますわ。」 「遠慮なしにお
喫り、お
喫り。上げよう....
「橋」より 著者:池谷信三郎
高砂の式台の定価札をひっくり返してみた。屋上庭園では失恋者が猿にからかっていた。
喫煙室では地所の売買が行われていた。待ち呆けを喰わされた男が、時計売場の前で、し....
「一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
て来るのが楽みで、一日に五回ずつ食ってやった。出掛けて行って食って来て、煙草でも
喫んでるとまた直ぐ食いたくなるんだ。 A 飯の事をそう言えや眠る場所だってそうじ....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
一 年紀は少いのに、よっぽど好きだと見えて、さもおいしそうに煙草を
喫みつつ、……しかし烈しい暑さに弱って、身も疲れた様子で、炎天の並木の下に憩んで....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
私はこの敗戦の責任を問われ、続く大会では鈴木現社会党委員長と書記長を争って大敗を
喫し、組織局長に格下げになった。組織局長は一年で辞め、鈴木委員長実現とともにまた....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
て、終に一刻千金と当てにしたりし日も暮れぬ。 薄暗き小ランプを友として、夕飯を
喫す。西天を彩れる夕映の名残も、全く消え果て、星の光は有りとは言へ、水面は、空闊....