嗄れ[語句情報] » 嗄れ

「嗄れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

嗄れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
深夜の市長」より 著者:海野十三
ている主人公の肩さきがピリピリと震えたように思った。 「ああーッ。……」と奇妙に嗄れた声が、器械台の前から響いてきた。見たところまだ若いらしいのに、それはまるで....
空中墳墓」より 著者:海野十三
を丸く曲げると、右手で入口の扉の鍵をカタリとねじって、 「オーライ、矢口」 と嗄れた声をはりあげた。 扉がスイと開いて矢口が今朝の新聞と、盆の上に一葉の名刺....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
ッ。もっと早く歩けッ!」 「中野の電信隊を通りぬけるまでは、安心ならないぞォ!」嗄れた、空虚な叫喚が、暗闇の中に、ぶつかり合った。 群衆の半数を占める女達は、....
怪塔王」より 著者:海野十三
さい。わしは研究中だ。誰がきても会わんぞ。今日はだめだめ。帰ってくれ」 博士は嗄れ声でどなるようにいいました。 塩田大尉と一彦とは、顔をみあわせました。 「....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
と、われは問いぬ。 「妖物?」と、彼は見かえりもせずに答えぬ。その声は怪しくうら嗄れて、かれは明らかにおののけり。 彼は更に言わんとする時、近きあたりの燕麦が....
」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
の方に居処を占めて、何の報酬も求めないで、番をして居た。夜になると街道に出て声の嗄れるまで吠えた。さて草臥れば、別荘の側へ帰って独で呟くような声を出して居た。 ....
アグニの神」より 著者:芥川竜之介
すことを御聞き入れ下さいまし」 やがてあの魔法使いが、床の上にひれ伏したまま、嗄れた声を挙げた時には、妙子は椅子に坐りながら、殆ど生死も知らないように、いつか....
取舵」より 著者:泉鏡花
室に這込みて、厄介ならざらんように片隅に踞りつ。人ありてその齢を問いしに、渠は皺嗄れたる声して、七十八歳と答えき。 盲にして七十八歳の翁は、手引をも伴れざるな....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
ら、進み寄り、屈みこんで、不意に妙な声をあげて死人の体を抱えあげながら、振返って嗄れ声で云った。 「うちの、峯吉です」 六 その頃、滝口坑....
京のその頃」より 著者:上村松園
が大変うまく、緩急をつけて、なかなかちょっと誰にでもはやれない地唄の中の許し物を嗄れた渋い声で唄って来る。 アッ来やはった、と思うと、私は絵の稽古をやめて表の....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
業であるらしいことは誰にも想像された。小坂部にも無論にそう信じられたので、かれは嗄れた声をふり絞って叫びつづけた。 「異国のお人……異国のお人……。采女……采女....
三枚続」より 著者:泉鏡花
て、月下にただぐるりぐるりと廻った。 「汝、業畜生、」と激昂の余り三度目の声は皺嗄れて、滅多打に振被った、小手の下へ、恐気もなく玉の顔、夜風に乱るる洗髪の島田を....
註文帳」より 著者:泉鏡花
「ええ、もし、」 「はい。」と目金を向ける、気を打った捨吉も斉しく振向くと、皺嗄れた声で、 「お前さん、御免なさいまし。」 敷居際に蹲った捨吉が、肩のあたり....
扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
の子供らしさが出てつい小さな欠伸を一つ出して仕舞いました。良人はそれを見るとやや嗄れたような中年男の声に、いたわりの甘味をふくめて、「ははあ」と軽く笑って云うの....
青い風呂敷包」より 著者:大倉燁子
なに怖かったのよ」 初子はダンサーの手に掴まって、ふらふらと起ち上りながら、皺嗄れた声で言った。 「あのう、――風呂敷の中に変なものが入っているんですよ。早く....