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嗇
「嗇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嗇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
うにか脱したのは第一に図書館のおかげだった。第二に貸本屋のおかげだった。第三に吝
嗇《りんしょく》の譏《そしり》さえ招いだ彼の節倹のおかげだった。彼ははっきりと覚....
「泥濘」より 著者:梶井基次郎
らついていた。古本屋を歩く。買いたいものがあっても金に不自由していた自分は妙に吝
嗇《けち》になっていて買い切れなかった。「これを買うくらいなら先刻《さっき》のを....
「後世への最大遺物」より 著者:内村鑑三
。金を遺すものを賤《いや》しめるような人はやはり金のことに賤しい人であります、吝
嗇《けち》な人であります。金というものは、ここで金の価値について長い講釈をするに....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
さん》に単舎利別《たんしゃりべつ》を混ぜたのを瓶《びん》に盗んで、内《うち》が吝
嗇《けち》じゃから見附かると叱《しか》られる、これを股引《ももひき》や袴《はかま....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
石にお君は、豹一が小学校を卒業したら中学校へやらせてくれと条件をつけた。これは吝
嗇漢《けちんぼ》の安二郎にはちくちく胸痛む条件だったが、けれどもお君の肩は余りに....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ためる。色男の伝介には何一つ貢《みつ》いでやったことは無かったそうです。つまり吝
嗇《けち》なんでしょうね」 「そうすると、山城屋へ因縁《いんねん》を付けさせたの....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
するのではない。ただ、ひと口に苦力といえば、最も下等な人間で、横着で、狡猾で、吝
嗇で、不潔で、ほとんど始末の付かない者のように認められているらしいが、必ずしもそ....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
を通して見た、この壁燈の光なんです。点け放しなんて――こんなことは、ラザレフの吝
嗇が狂人にでもならなけりゃ、てんでありっこないのですがね。」 その時、検事がル....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
沢山寄せて、 「何を貴方、勿体もない。私もはい法然様拝みますものでござります。吝
嗇坊の柿の種が、小判小粒になればと云うて、御出家に土の団子を差上げまして済むもの....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
の中に青い表紙の小さな汚ならしい本が五、六冊並べてある。その中の Avare(吝
嗇爺)というのを送ってくれ。横文字の本は書名と語名とを書き添えることをわすれない....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
んで空の乳母車をのぞき込んでいる母も、天界の楽園を追われてその門に立つイヴも、吝
嗇な男が自分の宝と置き換えられた石をながめている時でも、詩人がたましいをこめた、....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
うのない嬉しさであった。たいていの人間は秘密な宝をかくし持っているものである。吝
嗇の人間は金をかくしている。骨董家は指環を、学生は珍書を、詩人は気に入った住居を....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
かり合いましたが、死人はみな自分の愛している人のところへ立ち帰るものです。 吝
嗇な人間が生前に隠して置いた財物の附近に、夜中徘徊するというのもやはりこのわけで....
「妖怪学」より 著者:井上円了
食に乏しからず。 六白に生まるる人は、愛敬うすく、親戚、朋輩の交わり絶ち、かつ吝
嗇の心あるがゆえに、人にうとまるるなり。もっとも、その性質朴なるものなり。 七赤....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
使っている人を、営養不良色にして得意になっているのは、これまた贅沢の一つです。吝
嗇贅沢といいます。 一口にいえば、適時、適処、適事情の三つの条件に当てはまるの....