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嗔
「嗔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嗔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
取り上げると、お君さんの顔をじろりと見て、「あなた持っていらっしゃいよ。」と、嬌
嗔《きょうしん》を発したらしい声を出した。――
こんな葛藤《かっとう》が一週間....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
二人を引き離そうとした。ところが打たれた若者は、彼に腕を掴まれると、血迷った眼を
嗔《いか》らせながら、今度は彼へ獅噛《しが》みついて来た。と同時に彼の崇拝者は、....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
るのは、五根《ごこん》の欲を放つだけの事じゃ。が、謀叛《むほん》を企てるには、貪
嗔癡《どんしんち》の三毒を具えねばならぬ。聖者は五欲を放たれても、三毒の害は受け....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
返事をしたか? おれは中有《ちゅうう》に迷っていても、妻の返事を思い出すごとに、
嗔恚《しんい》に燃えなかったためしはない。妻は確かにこう云った、――「ではどこへ....
「杯」より 著者:森鴎外
がようようの事でこう云った。 「お前さんも飲むの」 声は訝《いぶかり》に少しの
嗔《いかり》を帯びていた。 第八の娘は黙って頷《うなず》いた。 今一人の娘が....
「青蛙神」より 著者:田中貢太郎
啓けさした。十娘は顔色を変えて怒って、崑を罵った。崑もまた笑っていたのがかわって
嗔となった。二人は互いに悪口を言いあった。十娘は、 「こんどは、あなたに出される....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
をやったら、次ぎに来た時、あんな物をくれるから、醤油を損した上に下痢までした、と
嗔った。小婢一人留守して居る処に来ては、茶をくれ、飯をくれ、果てはお前の着て居る....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
た。風は始終|向が変って、或は清新な空気を吹付けることもあれば、又或は例の臭気に
嗔咽させることもある。此日隣のは弥々浅ましい姿になって其惨状は筆にも紙にも尽され....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
さい》あってその羊一疋を神に牲《にえ》すべしと誓いながら然《しか》せず、神これを
嗔《いか》って大波を起し牧夫も羊も捲《ま》き込んでしまった。爾来《じらい》そこ常....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
懐《なつ》き馴れるが、その近所の大陸に住む奴は捕えらるるや否や、甚だしく怖れまた
嗔《いか》ってたちまち死するを熟知する故、猿取りに無駄骨を折らぬ。どうも地勢が違....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
抱き輪の真中の円の内に仏あり。その前に三動物を画き、鴿《はと》は多貪染、蛇は多|
嗔恚《しんに》、豕は多愚痴を表わす。この中心の円より外の輪に五、六の半径線を引い....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
叉の戟を持っていましたが、いきなりその戟の切先を杜子春の胸もとへ向けながら、眼を
嗔らせて叱りつけるのを聞けば、 「こら、その方は一体何物だ。この峨眉山という山は....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
て繋がれているのが人間である。人間はそこに罪深くも思想として迷妄世界を建立する。
嗔恚と悔恨とが苛責の牙を噛む。 人間の霊はその迷妄世界をさまよって、形なきとこ....
「人狼」より 著者:岡本綺堂
うとすれど、木戸には錠をかけているので直ぐには開かず。そのあいだに、おいよは眼を
嗔らせて、今にも飛びかかりそうに詰めよる。お妙は途方にくれ、引返して上のかたにそ....
「憑き物系統に関する民族的研究」より 著者:喜田貞吉
り東堂の庭に居らしめ、満山の衆徒盤環呪持すれば、此の人忽ち狂躍を示し、或は咆吼忿
嗔して状獣属の如く、力大磐を扛ぐ。若し触濁の人あれば、則ち捕へて数十歩の外に※と....