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嗣子
「嗣子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嗣子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「古典風」より 著者:太宰治
――こんな小説も、私は読みたい。(作者) A 美濃《みの》十郎は、伯爵《はくしゃく》美濃英樹の
嗣子《しし》である。二十八歳である。 一夜、美濃が酔いしれて帰宅したところ、家....
「奴隷根性論」より 著者:大杉栄
の兄弟であった。そしてこの資格をもって、その臣下の上に絶対権を握っていた。酋長の
嗣子は生れるとすぐに、その時母の乳房にすがっているいっさいの嬰児の主人であるとせ....
「仇討禁止令」より 著者:菊池寛
を継いだことを後悔し、頼重の子|綱条を養って子とし、自分の子鶴松を高松に送って、
嗣子たらしめた。 だから、高松藩は、徳川宗家にとっては御三家に次ぐ親しい間柄で....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
いで前の年の九月に亡くなった。それらの事情はこの事業に一頓挫を来たしたが、春一の
嗣子左太郎と別家|片桐衛門とが同門の人たちの援助を得て、これを継続完成した。山吹....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
あるじといい、晩年の号を荏野翁、または荏野老人ともいう。本居宣長の高弟で、宣長の
嗣子本居|大平の親しい学友であり、橘曙覧の師に当たる。その青年時代には尾張熱田の....
「新ハムレット」より 著者:太宰治
悲壮がっているような人なんだから、こんどはまた、ぐっと趣向を変えて、先王が死に、
嗣子のハムレットはその悲しみに堪え得ず気鬱、発狂。この一家の不幸を脊負い敢然立っ....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
を突込んだ。そして、恐ろしく大きな襯衣(この日の祝儀として、ボブが彼の子息にして
嗣子なるピーターに授与したる私有財産)の襟の両端を自分の口中に啣えながら、我なが....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
。 こっちの卓子には、頭をきれいに分けて派出な両前の服を着た日本青年――N男爵
嗣子オックスフォウドの学生――が、とうに食べおわったお膳をまえに、一月前の東京の....
「回想録」より 著者:高村光太郎
ら、その当時の風習に倣って戸籍上名儀だけだったが、師匠の妹の高村エツという人の養
嗣子となり、以後高村幸吉となった。そして父は漸く西町三番地に一家を持ち、祖父も前....
「盗難」より 著者:佐藤垢石
ら、これから産まれる子供の一人ぐらいは問題ではない。 しかし、わが子を佐藤家の
嗣子として贈るとすれば、直接その子を育てる者は佐藤の嫁さんである。その、嫁さんの....
「一老人」より 著者:犬田卯
ではあるが、娘を、この四郎左衛門の養女にやった――つまり他県へ出て大工をしている
嗣子に子供がなくて、その人へ娘をやり、現在は大工なる人も死に、その娘の代になって....
「茶の本」より 著者:岡倉由三郎
恵みをわかつべきでないことはその読者たちの数々の声からも明らかである。それで兄の
嗣子|一雄氏とも相談してこれを岩波文庫に収めることにした。もっとも広い読者の鑑賞....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
たび居士のもとへ帰って歌舞伎座の人となったが、わたしはもう帰らなかった。そうして
嗣子の信世さんのところへも御無沙汰をしていたことを、この機会にお詫びをしなければ....
「挿話」より 著者:徳田秋声
と、にわかにいじらしくなって、その日は道太は加わらないことにしてしまった。兄の養
嗣子の嫁の実家で、家族こぞって行くということも、辰之助から聞いていたので、むしろ....
「芝、麻布」より 著者:小山内薫
お耳底に残っている。 今の竜土軒は、先代夫婦の亡きあとを承けて、好人物らしい養
嗣子が経営ているが、その時分の吾々の文反故を、今でも大切に保存している―― 古....