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嘆ずる
「嘆ずる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嘆ずるの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
全身は枯痩し、宛然草紙にある餓鬼の姿よりなき幹枝を見れば、ありし日の俤何処ぞやと
嘆ずるのほかなく、転変の鉄鎖の冷たさは、夢幻まさに泡影の如しというべし。 ――....
「鉄面皮」より 著者:太宰治
分の家ではない、寓居だ、そのように三界に家なしと言われる程の女が、別にその孤独を
嘆ずるわけでもなし、あくせくと針仕事やお洗濯をして、夜になると、その他人の家で、....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
つもった大晦日、三百六十五日の最終の日にのぞんで、ああまた空しく一年を過ぐしたと
嘆ずるは愚痴、そらほどなら毎度のことでもあり、先の先まで見えすいておることを、今....
「大阪を歩く」より 著者:直木三十五
るものをして正当の価値に扱わしめよ。私は、私の郷土の名産物として、昆布の不遇を、
嘆ずるものである。 飛行機 私は、いつものように、飛行機である。東京から、....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
哀と悶愁と欲望とをこんがらかして身一つに収めた私はときどき天下真にわれ独りなりと
嘆ずることがある。今や私には気味悪い厭世思想が心の底に萌している。この思想は蕭殺....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
秘密に更に快い興奮を加えつつ、翠帳紅閨に枕を並べて比翼連理の語らいに夜の短かさを
嘆ずることとはなった。 ヒルミ夫人の生活様式は、同棲生活を機会として、全く一変....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
達が首うなだれておもむろに逍遙している。僕は折々自分のからだのはなはだ頑健なのを
嘆ずることがある。色も香もない冷酷な石壁の間に欠伸しているよりは、むしろ病んで蝶....
「随筆 寄席風俗」より 著者:正岡容
鼠が猫を追い駆けているようなもんでさ、ねえ」 「……強い……何にしても強い……」
嘆ずるように左楽老人が口を開いた。昔、乃木将軍の幕僚として日露の役に走《は》せ参....
「三国志」より 著者:吉川英治
配下にすれば、天下はわが掌のものだが――」 すると、諸将のうちから、 「将軍。
嘆ずるには及びません」と、いった者がある。 人々がかえりみると、虎賁中郎将の李....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ているから、この島原役当時、彼はまだ、五十三歳でしかなかったわけだ。単に、老いを
嘆ずるには、余りにまだ早すぎるといわなければならない。 いずれにせよ、この一書....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
たもの。東京を出てまだ五日目。都会神経を絶縁されると、こうもポカンとするものかと
嘆ずるように、Kさん、湯上がりタオルをぶらさげて、郷愁の顔を窓に出す。「降って来....