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嘔気
「嘔気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嘔気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
になったかと思われるような匂いだった。おぬいはそのすえたような匂いをかぐと、軽い
嘔気《はきけ》さえ催すのだった。けれども、それだからといって渡瀬さんを卑《いや》....
「さようなら」より 著者:田中英光
紫色の唇に、ひとりひとりが水に濡らした新しい筆の穂先をおしつけるのを眺めていて、
嘔気がするほど気持が悪く、急いでその場から逃げだすと奥の子供部屋で、愛読していた....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
すると、背後から大声でもって、警告してやりたい程、矢鱈無性に不安に襲われた。この
嘔気のようにつきあげてくる不安は、あながち酩酊のせいばかりでは無いことはよく判っ....
「家」より 著者:島崎藤村
三吉と直樹とは奥の部屋に洋燈を囲んで、一緒に読んだり話したりした。 急にお雪は
嘔気を覚えた。縁側の方へ行って吐いた。 「姉さん、どうなすったんですか」 と直....
「家」より 著者:島崎藤村
で、皆なの見ている前で手足なぞを拭かせたが、股のあたりの肉はすっかり落ちていた。
嘔気があるとかで、滋養物も咽喉を通らなかった。正太は、豊世の兄と三吉の二人を特に....
「地球要塞」より 著者:海野十三
間、目の前がまっくらになるのを感じた。ものすごい頭痛が、私を苦しめた。――そして
嘔気を催した。あまり急いで、速度を下げたからである。慣性緩和枕を、頭のところに取....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
中を、くり抜きに、うろついている心地がするので、たださえ心臓の苦しいのが、悪酔に
嘔気がついた。身悶えをすれば吐きそうだから、引返して階下へ抜けるのさえむずかしい....
「病中記」より 著者:寺田寅彦
れと云った。浅利君はすぐに小使室へ茶碗を取りに行った。それを待っているうちに急に
嘔気が込み上げて来たので右向きに頭を傾けて吐いた。吐こうと思う瞬間に吐くものが黒....
「箱根熱海バス紀行」より 著者:寺田寅彦
である。やっと熱海の宿に着いて暈の治りかけた頃にあの塩湯に入るとまたもう一遍軽い
嘔気を催したように記憶している。 無闇に井戸を掘って熱泉を噴出させたために規則....
「生と死との記録」より 著者:豊島与志雄
、呼吸五十二、 夜――熱九度二分、脈搏百四十、呼吸四十五、 尿二回、便五回、
嘔気二回、カンフル注射二回、腸注入一回、人乳五瓦三回、十瓦三回。 私は其処に敷....
「蘇生」より 著者:豊島与志雄
すましてこんなことを尋ねた。 「何処か痛みはしませんか。」 「痛みません。」 「
嘔気は?」 「ありません。」 「頭痛は?」 「しません。」 敬助は凡てを否定し....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
光りと音との波間に浮んでるがよう。軽い眩暈と恍惚の情とが相次いで起ってくる。時々
嘔気を催す。然し精神は清朗明晰を極めてるがように感ぜらるる。 母がしきりに....
「猫捨坂」より 著者:豊島与志雄
いたが、数日前から急に悪化して、食物も殆んど喉を通らなくなった。始終むかむかして
嘔気があり、臭いおり物には殆んど自覚がなく、時折、疼痛を訴える。その側に、姉は炊....
「指輪一つ」より 著者:岡本綺堂
ったく地獄の苦しみを続けて来たのですから、軽い脳貧血をおこしたらしく、頭が痛む、
嘔気を催してくる。この際どうすることも出来ないので、さっきから我慢をしていたので....
「犬神」より 著者:小酒井不木
努力は空に帰した。 突然、私は何だかこう胸を圧迫されるように感じた。いわば軽い
嘔気のような気分が起ったので、私は彼等から眼を離して、火鉢の前に坐り、手持無沙汰....