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嘗
「嘗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嘗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
みものも交《まじ》っていないことはない。行火の裾《すそ》には黒猫が一匹時々前足を
嘗《な》めている。
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行火の裾に坐っている黒猫。左....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
心が、人間の苦しみをのがれようとして、もがくように、腹の子はまた、人間の苦しみを
嘗《な》めに来ようとして、もがいている。が、阿濃は、そんな事は考えない。ただ、母....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
ば、求馬《もとめ》の敵でもあった。が、それよりも先にこの三年間、彼に幾多の艱難を
嘗《な》めさせた彼自身の怨敵《おんてき》であった。――甚太夫はそう思うと、日頃沈....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
を燃え立たせる事も時々あった。
牧野は始終愉快そうに、ちびちび杯《さかずき》を
嘗《な》めていた。そうして何か冗談《じょうだん》を云っては、お蓮の顔を覗《のぞ》....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
に遇《あ》ったことを話しているんだ。それから……」
譚は上脣《うわくちびる》を
嘗《な》めながら、前よりも上機嫌につけ加えた。
「それから君は斬罪と言うものを見....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
意を惹《ひ》いたものは、向うのテエブルに肘《ひじ》をついて、ウイスキイらしい杯を
嘗《な》めている、たった一人の客であった。
客は斑白《はんぱく》の老紳士で、血....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
第二に治修《はるなが》は三右衛門《さんえもん》へ、ふだんから特に目をかけている。
嘗《かつて》乱心者《らんしんもの》を取り抑えた際に、三右衛門ほか一人《ひとり》の....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
、岩石の間に棲《す》んでいる大鷲《おおわし》を射殺しにも行ったりした。が、彼は未
嘗《いまだかつて》、その非凡な膂力《りょりょく》を尽すべき、手強《てごわ》い相手....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
わたしはやはり小学時代に貝原益軒《かいばらえきけん》の逸事を学んだ。益軒は
嘗《かつ》て乗合船の中に一人の書生と一しょになった。書生は才力に誇っていたと見え....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
は、飽《あ》くまでも、臣節を尽そうとした。が、苦諫の効がない事は、既に苦い経験を
嘗《な》めている。そこで、彼は、今まで胸中に秘していた、最後の手段に訴える覚悟を....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
順天時報《じゅんてんじほう》」の記事によれば、当日の黄塵は十数年来|未《いま》だ
嘗《かつて》見ないところであり、「五歩の外に正陽門《せいようもん》を仰ぐも、すで....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
。それから平貝《たいらがい》のフライを肴《さかな》に、ちびちび正宗《まさむね》を
嘗め始めた。勿論|下戸《げこ》の風中や保吉は二つと猪口《ちょく》は重ねなかった。....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
それを伝えるのみが、決して自分の目的ではない。自分は、この伝説的な人物に関して、
嘗《かつ》て自分が懐《いだ》いていた二つの疑問を挙げ、その疑問が先頃偶然自分の手....
「久米正雄」より 著者:芥川竜之介
は小路へ、姿を下駄音と共に消すのも、満更厭な気ばかり起させる訳でもない。 私も
嘗て、本郷なる何某と云うレストランに、久米とマンハッタン・カクテルに酔いて、その....
「滝田哲太郎氏」より 著者:芥川竜之介
中、僕の最も懇意にしたのは正に滝田君に違いなかった。しかし僕はどういう訳か、未だ
嘗て滝田君とお茶屋へ行ったことは一度もなかった。滝田君は恐らくは僕などは話せぬ人....