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嘘にも
「嘘にも〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嘘にもの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「放送された遺言」より 著者:海野十三
は思わず身体を受信機のほうへのめらせて両手で両耳受話器《ヘッドフォン》を押えた。
嘘にも冗談にもせよ、それはあまりに奇怪なことである。 奇怪といえば天野祐吉がこ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いて兄が掛け合いにまいりましたことは、まだ当人の耳へは入れてございません。たとい
嘘にもしろ、自分が殺したなぞと云われたことが当人に聞えましては、どうもよくあるま....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
った。 「ひどく聖人になり澄ましたな」と、年上の男はあざわらった。「ええ、おい。
嘘にもほんとうにもしろ、お嬢さんと駈け落ちをしたという色男じゃあねえか。どうで溷....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
籠賃を踏み倒して逃げたんだろうと云っていると、奥からお父っさんが出て来て、たとい
嘘にもしろ、津の国屋の暖簾を指されたのがこっち不祥だ。駕籠屋さんに損をさせては気....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
邸の奥様で、その馬丁の情婦だ。 だから私ア、冷かしに行ってやろうと思ったんだ。
嘘にもほんとうにも、児があらあ、児が。ああ、」 また一口がぶりと遣って、はりは....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
思ったけれど、僕の行く道はいずれにしろもう完全に封鎖されていた。この上は本当にも
嘘にも、いま声をかけてくれた道一方しか逃げ場がないのだ。――僕はもう覚悟をきめて....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
あなた、笛吹川さんが此処へいらしって、頓死なすったんですって? 本当ですか」 「
嘘にも本当にも、先生あすこに眠っているよ」と隣室の寝台を指しました。 「眠ってい....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
は精神病者特有の一徴候なのだ。 普通の人間でもこんな隔絶境に半月もいたら少々の
嘘にも判別がつかなくなるだろう。それが、バイエルタールのは二十と数年――宣教師の....
「湯島の境内」より 著者:泉鏡花
れたんですもの。草葉の蔭でもどんなに喜んでいるか知れませんよ。 早瀬 堪忍しな。
嘘にも誉められたり、嬉しがられたりしたのは、私は昨日、一昨日までだ、と思っている....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
その催について名古屋へ行った、私たちの、まあ……興行か……その興行の風説をする。
嘘にもどうやら、私の評判も可さそうな。叔父はもとより。……何事も言うには及ばん。....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
肖たと云うて、涙を流すならば仔細ない。誰も泣きます。鬼瓦さながらでは、ソッとも、
嘘にも泣けませぬ。 泣け! 泣かぬか! 泣け、と云うて、先師匠が、老人を、月夜....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
して、「あ、本屋とござい。」と言って見ろ、「知ってるよ。」といって喧嘩になりか、
嘘にもしろ。」とその髑髏を指で弾く。 「いや、その喧嘩がしたかった。実は、取組合....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
か。先刻云ったのはちっともそんな気じゃアありません。何だか心細い事おいいだから、
嘘にもそんなこと云って私を弱らして下さるなって、そういうつもりだったのに、悪く取....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
鹿馬鹿しくもあり、腹立しくもあったが、斯うなって見ると自分にも罪が無いでもない。
嘘にもしろ、冗談にもしろ、自分は重太郎を可愛い人だと云った。で、対手の方でも自分....
「茶美生活」より 著者:北大路魯山人
完成したお茶事の構想から審美の感覚をのけものにしては、お茶道は全部崩れもすれば
嘘にもなるのである。まったく無意義なものになり、堕し切ってしまうのである。ために....