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嘘の皮
「嘘の皮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嘘の皮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「明暗」より 著者:夏目漱石
い込んだのです。ところが来て見ると、本当は一つもないんです、頭から尻《しり》まで
嘘の皮なんです。叔父は東京にいる方が多いばかりか、僕は書生代りに朝から晩まで使い....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ぞに出かけたに違げえねえ。あの狢《むじな》野郎、途中で連れに別れたなんて云うのは
嘘の皮で、始めから自分ひとりですよ」 「まあ、そう妬《や》くなよ」 「妬くわけじ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の戸をたたいたのは、貴様が冗談に庄五郎の声色を使ったのだということだが、そりゃあ
嘘の皮で、やっぱり本物の庄五郎が引っ返して来たに相違ねえ」 「いえ、それは……」....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
へ姿を隠すんだと云うから、一昨々日からこうして隠まって置いてやると、そりゃあ丸で
嘘の皮で、市ヶ谷の女と心中しそこなったんだということを今初めて聞いた。今まで人を....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いう評判で、それは善昌の魂だなどと云い触らす者もありましたが、なに、それはみんな
嘘の皮で、むかしの人はややもすると斯ういうことを云い触らす。又すぐにそれを信用す....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ところを、紺屋の長三郎が見つけたというじゃあねえか。狐をつかまえるなんていうのは
嘘の皮だ。もう一つには柳原でおれに突いて来た腕前がなかなか百姓の猪突き槍らしくね....
「「紋」」より 著者:黒島伝治
いするんじゃないぞ!」とばあさんは麦飯を椀に入れてやった。 「猫を放った云うて、
嘘の皮じゃ。まだ、ひろ/\してやがら。」 「あんな奴は叩き殺してしまえ!」近所の....
「戦雲を駆る女怪」より 著者:牧逸馬
放浪する、スパイらしいスパイである。 ほんとに活動にはいる。 ジャワなどとは
嘘の皮で、一八七六年八月七日、オランダの Leenwarder 町に生まれた。家....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
ら来て、新選挙地に草鞋をぬぎ、土着《どちゃく》になるのを意味するのだときいたが、
嘘の皮で、その前日にも打合せに来ている。区内になんぞ住みもしなかったが、ともあれ....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
仕方がねえ。」 「それ見ろ。」と、僕の父も誇るように言った。「犬に食われたなんて
嘘の皮だ。犬よりも人間の方が余っ程おそろしい。」 嫌疑者のふたりは強情に白状し....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
人を勤めたからのことで」
「それはみんな嘘です! 外見は事実だが、内面から見ると
嘘の皮です!」ドミトリイ・フョードロヴィッチは憤怒に全身をわなわなと震わせた。「....
「水鬼」より 著者:岡本綺堂
れが女であることは、うしろ姿でもたしかに判った。 虫を捕りに来たなどというのは
嘘の皮で、市野はここで女を待合せていたのかと、僕はひとりでほほえんだ。それと同時....
「早耳三次捕物聞書」より 著者:林不忘
性なるものを物語った。 それによると女は、日本橋のさる老舗の娘などと言ったのは
嘘の皮で、じつはこうやって方々の貸家を移り歩いてはにせの小判を造っている女悪党だ....
「城」より 著者:カフカフランツ
けれどね――私がフリーダに一こと二こといってやれば、それで君があの子をひっかけた
嘘の皮をはぐのに十分なんだ。そして、嘘だけがフリーダを私から引き離すことができた....
「猪鹿蝶」より 著者:久生十蘭
てしょうがないから、離すわけにはいかない。おさえつけておいて、木津さんの眼の前で
嘘の皮をひンむいて見せないと、木津さんなんてひとは、どんな化かされかたをするか知....