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「嘯く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

嘯くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
雪霊続記」より 著者:泉鏡花
を噛んだのは、凄く可恐い、且つ力ある犬の声でありました。 ウオオオオ! 虎の嘯くとよりは、竜の吟ずるがごとき、凄烈悲壮な声であります。 ウオオオオ! 三....
地獄の使者」より 著者:海野十三
。そんな馬鹿気た話を、誰が真面目になって聞くものですか」 亀之介は腕組みをして嘯く。帆村はいよいよ静かな態度で、次なる言葉を繰り出す。 「その書簡箋を鶴彌氏が....
島原の夢」より 著者:岡本綺堂
り観るときは、おなじ世界に湧いた虫」と大判司は相手に負けないような眼をみはって空嘯く。 「枝ぶり悪き桜木は、切って接ぎ木をいたさねば、太宰の家が立ちませぬ」と、....
修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
職人|風情の妻となって、満足して暮すおまえらに、わたしの心はわかるまいのう。(空嘯く) (楓の婿春彦、二十余歳、奥より出づ。) 春彦 桂どの。職人風情とさも卑し....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
改めてゆっくりと見てもらうことにしよう――今度は監房の中でだ」と熊城が毒々しげに嘯くと、法水はそれを窘めるように見てから、伸子に云った。 「お構いなく続けて下さ....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ニッコリ笑い、一、二歩ゆきかけたが、立ちどまって空を仰いだ。おおらかに、胸をはり嘯くように言う。 「はてさて、俺も追ん出されて行き暮れにけり――か。颯爽と、乞....
死者の書」より 著者:折口信夫
―。ほっと息をついた。 まるで、潜きする海女が二十尋・三十尋の水底から浮び上って嘯く様に、深い息の音で、自身明らかに目が覚めた。 ああ夢だった。当麻まで来た夜道....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
は前にも泊った所で、前に泊った時分には虎の嘯いて居る声を聞いて 月清しをどろに嘯く虎の音に ビチャゴリ川の水はよどめる と詠んだ事を思い出し、翌朝早....
」より 著者:金史良
い出会って、問いかけでもしたら、彼は直様癖の手を頭にやって、 「なあ学生さん」と嘯くのだ。「偉え不景気でがしてのう」 彼は裸一貫である。何時かの述懐に依ると、....
弓道中祖伝」より 著者:国枝史郎
。満を持してしばらくもたせたが「曳!」という矢声! さながら裂帛! 同時に鷲鳥の嘯くような、鏑の鳴音響き渡ったが、源三位頼政鵺を射つや、鳴笛紫宸殿に充つとある、....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
云おう! 寂しいと云えば万事万端寂しくないものは一つもない。林を渡る嵐の音、丘で嘯く豹の声、藪で唸っている狐の声。…… ある夜銃眼から覗いて見ると一匹の豹が小....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
き出さず、東の空も水色を産まず、裾野は暗く物寂しく、風ばかりが灌木を渡ると見え、嘯くような声がした。 岩山の裾に黒々と斑点のような物の見えるのは、おおかた人穴....
前記天満焼」より 著者:国枝史郎
り巻くや、四方からドッと切り込んだ。 「うむ、出たか! 待っていたようなものだ」嘯くように云ったかと思うと、抜打ちに一人を切り斃し、 「すなわち人殺受負業! ア....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
い。――五月の鯉の吹流し、口ばッかりではらわたはなしなぞ嘲りはするが、彼の大空に嘯くの概は、憚んながら江戸ッ児の本性をあらわして遺憾なきものだ。 ただ恨むらく....
ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
んで来ると、彼女は心覚えの文句を辿り辿り長く声を引いて、時には耳を澄まして自分の嘯くような声に聞き入って、秋の夜の更けることも忘れた。 寝ぼけたような鶏の声が....