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「嘲す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

嘲すの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
来た千鳥の、銀の鋏を使うような声が、手に取るように聞えて来る) 藤十郎 (自嘲するがごとく、淋しく笑って)これは、いかい粗相を申しました。が、この藤十郎の切....
霜凍る宵」より 著者:近松秋江
かるはずだと思ったのであった。すると彼女は今まで話していた調子とすこし変って、冷嘲するような笑い方をしながら、 「あんたはんそんなことをおいいやしたかて、お園さ....
縮図」より 著者:徳田秋声
に馴れてしまうと、今更何をしようという野心もなく、それかと言って自分の愚かさを自嘲するほどの感情の熾烈さもなく、女子供を相手にして一日一日と生命を刻んでいるので....
舗道」より 著者:宮本百合子
て、 「どう?」 と云った。 「私たちは、こういう目にも会うのよ」 そして、自嘲するように笑おうとしたがみどりの唇が震えて、見る見る目に涙が湧き出して来た。頬....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
なんでもないじゃないか、ほんの崖くずれのあとだ」 仏頂寺弥助が、丸山の発見を冷嘲する。 丸山も一時は、発見を誇大に叫んでみたが、そう言われると、これが果して....
菜穂子」より 著者:堀辰雄
う問い返した。 菜穂子はそう率直に反問されると、急に半ばごまかすような、半ば自嘲するような笑いを浮べた。「明さんにはどう見えて?」 「さあ……」明は本当に困惑....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
しを見ねえとは阿漕ですねえ」 胡座から立て膝に直ったかと思うと、こう勘兵衛が冷嘲すように云った。 「見忘れたんでもござんすまいに」 「わりゃア勘兵衛!」と主税....
肌色の月」より 著者:久生十蘭
するにしても、たぶん、もう二度と自殺しようなどとは考えないだろう。 久美子は自嘲するようにニヤリと笑った。 「たいへんなことになった」 自殺という作業を完成....
地上」より 著者:島田清次郎
あった時なぜか胸が躍った。 「よく刷れましたね」 「そんなもんですかな」尾沢は自嘲するように答えた。その答のうちには(どうでもなるようになるがいい!)というよう....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
日、懶惰にぶらぶらしている身が、どうして、そう有名になったものか」 小次郎は自嘲するように、若々しい歯ならびを見せて、 「べつに拙者が、出色しているわけではな....
私本太平記」より 著者:吉川英治
るされぬ無道と怒ればこそ、万一の一戦も覚悟はしておる。それが尊氏の立場なのだ。自嘲するしかないわしなのだ」 灯は細まっているのに、たたみの上の奉書は、紙の白さ....