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嘴
「嘴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嘴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河童」より 著者:芥川竜之介
は仰向《あおむ》けに倒れたまま、大勢の河童にとり囲まれていました。のみならず太い
嘴《くちばし》の上に鼻目金《はなめがね》をかけた河童が一匹、僕のそばへひざまずき....
「桃太郎」より 著者:芥川竜之介
まわる鬼を追いまわした。犬はただ一噛《ひとか》みに鬼の若者を噛み殺した。雉も鋭い
嘴《くちばし》に鬼の子供を突き殺した。猿も――猿は我々人間と親類同志の間がらだけ....
「女」より 著者:芥川竜之介
ら動き出した。蜂はその時もう花粉にまみれながら、蕊《しべ》の下にひそんでいる蜜へ
嘴《くちばし》を落していた。
残酷な沈黙の数秒が過ぎた。
紅い庚申薔薇《こう....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
な。」
「さようさ。」老人は、膝の上から、頤を離して、始めて、李の方を見た。鳥の
嘴《くちばし》のように曲った、鍵鼻《かぎばな》を、二三度大仰にうごめかしながら、....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
を入るることもなかりき。 静かに平和に世はおさまりて 土はその収穫を稔れよと 鶴
嘴と鋤とに打砕かるることもなかりき。 (注) この後に来たのが白銀時代で、黄金....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
。野山の狐|鼬なら、面が白いか、黄色ずら。青蛙のような色で、疣々が立って、はあ、
嘴が尖って、もずくのように毛が下った。」 「そうだ、そうだ。それでやっと思いつけ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
る、血は冷える。あっ、」と言って、両手を落した。 吃驚して按摩が手を引く、その
嘴や鮹に似たり。 兄哥は、しっかり起直って、 「いや、手をやすめず遣ってくれ、....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
拵えるより前に、手で開けるわけには参りませんの。) ぶるぶるぶる……私あ、頭と
嘴を一所に振った。旦那の前だが、……指を曲げて、口を押えて、瞼へ指の環を当がって....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
とり寂しいほど、着痩せのした、縞お召に、ゆうぜんの襲着して、藍地糸錦の丸帯。鶸の
嘴がちょっと触っても微な菫色の痣になりそうな白玉椿の清らかに優しい片頬を、水紅色....
「橋」より 著者:池谷信三郎
中にたった二つの黒い点、オニエギンとレンスキイが、真黒な二羽の鴉のように、不吉な
嘴を向き合せていた。 彼は万年筆をとりだすと、プログラムの端へ急いで書きつけた....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
を見ても、飛び立つ気色さえ示さなかった。のみならずまん中にとまっていた鴉は大きい
嘴を空へ挙げながら、確かに四たび声を出した。 僕は芝の枯れた砂土手に沿い、別荘....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
だよ。」 と、母親は言って聞かせました。自分でもその鰻の頭が欲しかったと見えて、
嘴を磨りつけながら、そして、 「さあみんな、脚に気をつけて。それで、行儀正しくや....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
なのだ。頭は小さく、上が平らで、大きな耳と、大きな緑色のガラスのような眼と、鷸の
嘴のように長い鼻とがくっついているさまは、まるで風見の鶏が、彼の細い首のうえにと....
「まあまあ居士の弁」より 著者:浅沼稲次郎
ってくれ、と言うのでまた坑夫の家に行って泊った。三日三晩というもの、カンテラと鶴
嘴で守ってもらった感激は、今でも忘れることができない。 しかし、最後には到頭も....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
過ぎる二三寸の尾を動かしながら頻りに逆に松の枝へ吊さっては餌をむさぼる。尾に触れ
嘴に打たれて、小さな松の皮、古松葉などがはらはらと落ちて来る。そのうちにはどうか....