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嘶
「嘶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嘶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
》いた。幕営の外はしんとしている。遠くで二三度、角《かく》の音がしたほかは、馬の
嘶《いなな》く声さえ聞えない。その中で、どことなく、枯れた木の葉の匂《におい》が....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
と馬も創《きず》を受けたのであろう。何小二が鞍の前輪へつっぷすが早いか、一声高く
嘶《いなな》いて、鼻づらを急に空へ向けると、忽《たちま》ち敵味方のごったになった....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
。すると馬は――馬車を牽《ひ》いていた葦毛《あしげ》の馬は何《なん》とも言われぬ
嘶《いなな》きかたをした。何とも言われぬ?――いや、何とも言われぬではない。俺は....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
音がした。痩馬は荷が軽るくなると鬱積《うっせき》した怒りを一時にぶちまけるように
嘶《いなな》いた。遙かの遠くでそれに応《こた》えた馬があった。跡は風だけが吹きす....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
もの」 御者は黙して頷《うなず》きぬ。たちまち鞭の鳴るとともに、二頭の馬は高く
嘶《いなな》きて一文字に跳《は》ね出《い》だせり。不意を吃《くら》いたる乗り合い....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
うでは、坂を上るわけには行くまいと思ったが、ふと前途《ゆくて》に、ヒイインと馬の
嘶《いなな》くのが谺《こだま》して聞えた。
馬士《まご》が戻《もど》るのか小荷....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
これがために消えて、しばらくは黒白も分かず。阿部街道を戻り馬が、遥に、ヒイインと
嘶く声。戸外で、犬の吠ゆる声。 「可恐い真暗ですね。」 品々を整えて、道の暗さ....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
ような物に打付かって、斛斗を打って仰様に転ぶと、滝のような雨の中に、ひひんと馬の
嘶く声。 漸々人の手に扶け起されると、合羽を解いてくれたのは、五十ばかりの肥っ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
で乗るべいか。)馬士が、(そんなら、ようせよせ。)と言いやす、馬がヒインヒインと
嘶う。」 「若いもの、その人に構うまい。車を早く。川口の湊屋と言う旅籠屋へ行くの....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
ちょうどその時、四五十歩を隔てた、夜店の賑かな中を、背後の方で、一声高く、馬の
嘶くのが、往来の跫音を圧して近々と響いた。 と思うと、滝太郎は、うむ、といって....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
なりをつけるぜ。」「魂消たの、一等賞ずらえ。」「黙っててくんろよ。」馬がヒーンと
嘶いた。この馬が迷惑した。のそりのそりと歩行き出すと、はじめ、出会ったのは緋縅の....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
った父母は、苦しそうに身を悶えて、眼には血の涙を浮べたまま、見てもいられない程|
嘶き立てました。 「どうだ。まだその方は白状しないか」 閻魔大王は鬼どもに、暫....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
と言わん方なく、蚤の多きことさながらに足へ植えたるごとし。呉牛の喘ぎ苦しく胡馬の
嘶きを願えども甲斐なし。夜はなおさら昼のホテリの残りて堪えがたければ迚も寝られぬ....
「多神教」より 著者:泉鏡花
ほほほほ、(微笑みつつ寄りて、蘆毛の鼻頭を軽く拊つ)何だい、お前まで。(駒、高
嘶きす)〔――この時、看客の笑声あるいは静まらん。然らんには、この戯曲なかば成功....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
れがまた非常に鮮かに虚空にうかんで見える。四山の紅葉を振い落そうとするような馬の
嘶きが聞えることもある。草刈が曳き後れた馬の
嘶きである。時とすると秋天の変り易い....