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噤
「噤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
噤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
たか、話題がまたあの二年以前の大地震に落ちた事がございます。私はその時も独り口を
噤《つぐ》んだぎりで、同僚《どうりょう》の話を聞くともなく聞き流して居りましたが....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
御容子《ごようす》にひき入れられたのか、しばらくの間は御姫様を始め、私までも口を
噤《つぐ》んで、しんとした御部屋の中には藤の花の※《におい》ばかりが、一段と高く....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
んだししゃく》はこう云って、かすかな吐息《といき》を洩しながら、しばらくの間口を
噤《つぐ》んだ。じっとその話に聞き入っていた私は、子爵が韓国《かんこく》京城《け....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
、そんなものだ。」
話したいと云った癖に、王生はそう答えたぎり、いつまでも口を
噤《つぐ》んでいる。趙生はとうとう待兼ねたように、そっと王生の膝を突いた。
「そ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
れど、――」
「好《よ》くはないよ。」
お蓮は顔を曇らせたなり、しばらくは口を
噤《つぐ》んでいた。が、突然涙ぐんだ眼を挙げると、
「あなた、後生《ごしょう》で....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
を利かしていたもんだよ。………」
譚は何か思い出したように少時《しばらく》口を
噤《つぐ》んだまま、薄笑いばかり浮かべていた。が、やがて巻煙草を投げると、真面目....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
げながら、何か病室の消息《しょうそく》を尋ねるような表情をした。が、慎太郎は口を
噤《つぐ》んだなり、不相変《あいかわらず》冷やかな眼つきをして、もとの座蒲団《ざ....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
に参考になりそうですから。」
老紳士はパイプを銜《くわ》えたまま、しばらく口を
噤《つぐ》んだ。そうして眼を硝子窓の外へやりながら、妙にちょいと顔をしかめた。そ....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
慣用手段《かんようしゅだん》の一つである。三右衛門はやはり目を伏せたまま、やっと
噤《つぐ》んでいた口を開いた。しかしその口を洩《も》れた言葉は「なぜ」に対する答....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
た。
「そら、御覧なさい。隠したってすぐに露《あら》われます。」
彼はまた口を
噤《つぐ》んで、じっと足もとの石を見つめていた。水沫《しぶき》を浴びた石の間には....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
しょう。あるいは寺の門番が、話して聞かせたかも知れません。」
客はちょいと口を
噤《つぐ》むと、考え深そうな眼をしながら、思い出したように茶を啜《すす》った。
....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
《しゅほ》の酒を一合買うのでも、敬礼だけでは売りはしめえ。」
田口一等卒は口を
噤《つぐ》んだ。それは酒気さえ帯びていれば、皮肉な事ばかり並べたがる、相手の癖に....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
* * *
王石谷《おうせきこく》はちょいと口を
噤《つぐ》んだ。
「これまでは私《わたし》が煙客先生《えんかくせんせい》から、聞....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
出した。 「S子さんの唇を見給え。あれは何人もの接吻の為に……」 僕はふと口を
噤み、鏡の中に彼の後ろ姿を見つめた。彼は丁度耳の下に黄いろい膏薬を貼りつけていた....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
、一刻も早く返答しろ」と言うのです。 しかし杜子春は老人の言葉通り、黙然と口を
噤んでいました。 「返事をしないか。――しないな。好し。しなければ、しないで勝手....