器用[語句情報] »
器用
「器用〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
器用の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「父」より 著者:芥川竜之介
たが、その代りに、これと云って、不得意なものもない。その癖、ちょいとした事には、
器用な性質《たち》で、流行唄《はやりうた》と云うようなものは、一度聞くと、すぐに....
「第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
仏画師《ぶつがし》、第四の夫は僕である。僕もまたこの頃は無職業ではない。とにかく
器用を看板とした一かどの理髪師《りはつし》になり了《おお》せている。
謹厳なる....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
になりませんか。」
「いや私《わたし》は、どうもああいうものにかけると、とんと無
器用でね。もっとも一時はやったこともあるが。」
「そりゃ御冗談で。」
「いや、ま....
「彼」より 著者:芥川竜之介
》ろに真面目《まじめ》にこんなことを尋ねたりした、敷島《しきしま》の煙を一つずつ
器用に輪にしては吐《は》き出しながら。
四
彼は六高へはい....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
だよ。手|探《さぐ》りでも」自分はかまわずに電燈をつけた。細帯一つになった母は無
器用《ぶきよう》に金槌《かなづち》を使っていた。その姿は何だか家庭に見るには、余....
「水の三日」より 著者:芥川竜之介
先生が、手伝ってくださる。僕たちの中では、砂岡君がうまく撚《よ》る。僕は「へえ、
器用だね」と、感心して見ていた。もちろん僕には撚れない。
事務室の中には、いろ....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
。――御免なさいよ。電車がそりゃこむもんだから。」
お絹はやはり横坐りのまま、
器用に泥だらけの白足袋《しろたび》を脱いだ。洋一はその足袋を見ると、丸髷《まるま....
「老年」より 著者:芥川竜之介
れから間もなく親ゆずりの玄米《くろごめ》問屋の身上《しんじょう》をすってしまい、
器用貧乏と、持ったが病の酒癖とで、歌沢の師匠もやれば俳諧の点者《てんじゃ》もやる....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
* * *
一週間たった後、最高点を採った答案は下に掲げる通りである。
「正に
器用には書いている。が、畢竟それだけだ。」
親子
親は子供を養育する....
「運」より 著者:芥川竜之介
帯にはさんでいた扇《おおぎ》をぬいて、簾《すだれ》の外の夕日を眺めながら、それを
器用に、ぱちつかせた。その夕日の中を、今しがた白丁《はくちょう》が五六人、騒々し....
「或る女」より 著者:有島武郎
。そして乱れかかる額ぎわの髪を、振り仰いで後ろになでつけたり、両方の鬢《びん》を
器用にかき上げたりして、良工が細工物でもするように楽しみながら元気よく朝化粧を終....
「或る女」より 著者:有島武郎
は不思議に人をひきつける葉子の姿に目をそばだてた。けれども葉子はもう左手の小指を
器用に折り曲げて、左の鬢《びん》のほつれ毛を美しくかき上げるあの嬌態《しな》をし....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
べえかの。何とまあ孩児《やや》の痛ましくさかぶぞい。じゃまあおやすみ」
彼れは
器用に小腰をかがめて古い手提鞄《てさげかばん》と帽子とを取上げた。裾《すそ》をか....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
った。しかしそれはおもしろいという意味ではもちろんない。なぜなれば君はしばしば不
器用な言葉の尻を消して、曇った顔をしなければならなかったから。そして私も苦しい立....
「親子」より 著者:有島武郎
させた。 「それを百二十七町四段二畝歩にするといくらになるか」 父はなお彼の不
器用な手許から眼を放さずにこう追っかけて命令した。そこで彼はもうたじろいでしまっ....