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囁
「囁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
囁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
。私の耳もとでは誰かが嬉しそうに嘲笑《あざわら》いながら、「それだ。それだ。」と
囁くような心もちさえ致します。私はまだ火をともさない店先の薄明りで、慌《あわただ....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
長彦さん。髪長彦さん。私《わたし》は生駒山の駒姫《こまひめ》です。」と、やさしい
囁《ささや》きが聞えました。
それと同時にまた笠置山《かさぎやま》の方からも、....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
っそりと静まりますと、また「摩利信乃法師《まりしのほうし》、摩利信乃法師」と云う
囁き声が、丁度|蘆《あし》の葉に渡る風のように、どこからともなく起ったのは、この....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
いる。――そうしてその幽霊《ゆうれい》が時々我々の耳へ口をつけて、そっと昔の話を
囁いてくれる。――そんな怪しげな考えがどうしても念頭を離れないのです。殊に今の洋....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
難らしい。勝つか、それともまた負けるか、――」
するとその時彼の耳に、こう云う
囁《ささや》きを送るものがあった。
「負けですよ!」
オルガンティノは気味悪そ....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
《も》んで、甚太夫の側へ寄ると、「一そ恩地の屋敷の外へ参って居りましょうか。」と
囁いた。が、甚太夫は頭《かしら》を振って、許す気色《けしき》も見せなかった。
....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
なのだ。「渡《わたる》を殺そうではないか。」――己があの女の耳に口をつけて、こう
囁《ささや》いた時の事を考えると、我ながら気が違っていたのかとさえ疑われる。しか....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
ん》が続いた後《のち》、お蓮がこう問い直すと、声はやっと彼女の耳に、懐しい名前を
囁《ささや》いてくれた。
「金《きん》――金さん。金さん。」
「ほんとうかい? ....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
で彼は折から通りかかった了哲をよびとめて、そっと顋《あご》で斉広の方を教えながら
囁《ささや》いた。
「また金無垢になったじゃねえか。」
了哲はそれを聞くと、呆....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
間さんの耳もとへ酒臭い口を寄せながら、ほとんど噛《か》みつきでもしそうな調子で、
囁いた。
「もし君が他言《たごん》しないと云う約束さえすれば、その中の一つくらい....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
》は誤っては居らぬ、誤って居《い》ると思うのは数馬に依怙《えこ》のあるためだぞと
囁《ささや》くものがあるのでございまする。………」
「それからいかが致した?」
....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
したのは今夜ここへ来たアグニの神です」 遠藤は妙子を抱えたまま、おごそかにこう
囁きました。....
「久米正雄」より 著者:芥川竜之介
つ、しかもその誘惑に抵抗しない、たとえば中途まで送って来た妓と、「何事かひそひそ
囁き交したる後」莫迦莫迦しさをも承知した上、「わざと取ってつけたように高く左様な....
「寡婦」より 著者:秋田滋
花を貰いました。また、毎晩、その子は部屋へあがって行く前に私の手に接吻して、こう
囁くのでした。 「僕はあなたを愛しています!」 私が悪かったのです、ほんとうに....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
落ち付かぬ容子をして、亭主と同じように切りに思い出そうとしていたが、出し抜けに、
囁くような声でこう云った。 「そう、そう――だけど、あのひとのほうが髪の毛が黒い....