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囚われ
「囚われ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
囚われの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
つまでもプラットフォオムに立って、次第に遠ざかって行く野村を見送るほど、感傷癖に
囚われてはいなかった。だから彼はもう一度鳥打帽の庇へ手をかけると、未練なくあたり....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
ったように、省作は今はどうにもこうにも動きがとれない。つまりおとよさんの恋の手に
囚われてしまっているのだから、省作が一人であがいた分には、いくらあがいたってなん....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
故意か! こんな偶然て、あり得るだろうか。僕は説明することの出来ないような困惑に
囚われた。そして隣家に住むマスミに気取られぬよう、跫音を忍んで、その隣りの、わが....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
ッキリと返事をしなかった。どうやら真一ののけぞった屍体を見てから、すっかり恐怖に
囚われてしまったものらしい。 丁度そのときのことであった。ジジーンと、突然玄関....
「続獄中記」より 著者:大杉栄
って何とかすることができなければ、敵国に使して何とかするというような支那の言葉に
囚われて、あるいは外交官になって見ようかという多少の志がないでもなかった。また、....
「地底戦車の怪人」より 著者:海野十三
と、地底戦車を、ぎりぎりと、前進させ始めた。 計器の針が、一どにうごきだした。
囚われのリント少将は、 (この小僧め) と、沖島のうしろからピストルをつき出そ....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
て苦い新婚の夢であった。 その夢もわずか九カ月ばかりで破れてしまう。僕は巣鴨に
囚われる。そしてしばらくするうちに、余罪で、思いの外に刑期が延びる。雑誌は人手に....
「『新訳源氏物語』初版の序」より 著者:上田敏
る階級の差等、「御」とか、「せさせ給ふ」とかいう尊称語を除いてみれば、後世の型に
囚われた文章よりも、この方が、よほど、今日の口語に近い語脈を伝えていて、抑揚|頓....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ろうか。後にナポレオン三世になったルイ・ナポレオンその人で、その頃はハムの城砦に
囚われておったのだ。 ナポレオンはその後にも「鉛のように軟くて、しかも鎔解しに....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
危険はしなかった。 小虎の全身に搦んでいる種々の藻の種類。それを切払って水妖の
囚われから救おうとする竜次郎の苦心。それは実際一通りでは無かった。 白分も片手....
「丹那山の怪」より 著者:江見水蔭
到を祝し、それから庄屋格だけを次の間に並列さして、改めてお目通りという様な形式に
囚われた挨拶の後、膳部なども山中とは思われぬ珍味ぞろい。この家ではどうしても杯を....
「おびとき」より 著者:犬田卯
の作造はのんきに構えこんだのだが、女房は――家付娘としてこの村の習慣に骨の髄まで
囚われてしまっているお島としては、隣同士で招んでも来なかった、とあとでかげぐちを....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
親戚間のそれや、そうした絆を断ち切ってしまって、完全に「自分一個」の「自由」な「
囚われない」生活をはじめたのであった。 彼女は、近所や親戚に葬式があっても気が....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
びぬと思われい。」と、男は雲を指さして教えた。 小坂部も言い知れない敬虔の念に
囚われて、うやうやしくその雲の影を拝んだ。かれは再びこの天主閣の頂上から下界へ降....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
っていないといってツルゲーネフの次位に置き、文学上の批判がともすれば文章の好悪に
囚われていた。例えば現時の文学に対しても、露伴を第一人者であると推しながらも、座....