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囚徒
「囚徒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
囚徒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
、更に又第二のバケツの水を第一のバケツへ移すと言うように、無用の労役を強いられた
囚徒の自殺することを語っている。信輔は鼠色《ねずみいろ》の校舎の中に、――丈の高....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
た。 「砲台牌をよこせい! 砲台牌だい! 砲台牌だアい! 馬鹿!」 一番さきの
囚徒は真蒼に頭を垂れ、打ち凋れていた。三番目の男は、肘の関節を逆に、ねじ折れそう....
「謀叛論(草稿)」より 著者:徳冨蘆花
れば、生きた者も恐い。死減一等の連中を地方監獄に送る途中警護の仰山さ、始終短銃を
囚徒の頭に差つけるなぞ、――その恐がりようもあまりひどいではないか。幸徳らはさぞ....
「映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
のダイアル。それから昼顔の花もかすかにこれに反映するものである。直線運動としては
囚徒や職工の行列、工作台上の滑走台、ジュアンヌの机の前の壁を走り上る数字の列等が....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
は言訳をすることが出来るものをと、お前は無念に思うであろうが、法廷で論ずる罪は、
囚徒が責任を負ってるのだ。 今お前が言訳をして、今日からどんな優しい気になろう....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
る目を避くるを許さざりき。 武歩たちまち丘下に起りて、一中隊の兵員あり。樺色の
囚徒の服着たる一個の縄附を挟みて眼界近くなりけるにぞ、お通は心から見るともなしに....
「日本天変地異記」より 著者:田中貢太郎
越えて、茅場町、同心町、八丁堀に及んだ。その火が伝馬町に移った時、伝馬町の獄では
囚徒を放った。その
囚徒は東へ走って浅草門を出た。浅草門の門番は
囚徒を逃がしてはな....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
詛と反感と狂望と歓喜。ゴウルキイの原稿。ゲルツェンの原稿。地下室に監房と蝋人形の
囚徒。秘密運動のじっさい。 この建物は一八一四年に出来たラスモヴスキイ邸宅で、....
「嵐」より 著者:寺田寅彦
てても平気でいる。 着物は何処かの小使のお古らしい小倉の上衣に、渋色染の股引は
囚徒のかと思われる。一体に無口らしいが通りがかりの漁師などが声をかけて行くと、オ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
……………五十リーヴル
監獄改善事業…………………………………………四百リーヴル
囚徒慰問および救済事業……………………………五百リーヴル
負債のため入獄せる戸主....
「死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
より、ずっと立派な気持がひそんでいた。ところが旅行券のやつめ! 黄色なんだ、放免
囚徒と書きつけてあるんだ。そいつをどこに行くにも見せなけりゃならねえし、いなかに....
「チューインガム」より 著者:寺田寅彦
のであった。到る処の青山に春風が吹いていた。 アメリカへ船が着く前に二等船客は
囚徒のように一人一人呼び出されて先ず瞼を引っくら返されてトラフォームの検査を受け....
「俊寛」より 著者:倉田百三
康頼 (うつむく)わしはそれを信じます。 俊寛 (ため息をつく)あゝ、あなたは
囚徒のごとく不安な態度で仏の名を呼ばれます。このたいせつな証をたてるのにわしの顔....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
り。 三日、晴れ。石田氏とともに監獄を一覧す。獄内広からず、設備可ならざるも、
囚徒を遇することすこぶる寛なりという。日本人にて入獄せるもの六十余人あり。つぎに....
「死児を産む」より 著者:葛西善蔵
分と同姓の、しかも自分とは一廻り下の同じ亥年の二十六歳の、K刑務所に服役中の青年
囚徒からの手紙だった。彼の郷国も、罪名も、刑期も書いてはなかったが、しかしとにか....