四方八方[語句情報] » 四方八方

「四方八方〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

四方八方の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
―こんな取りとめのない考えが、暗《やみ》の中に鳴いている藪蚊《やぶか》のように、四方八方から、意地悪く心を刺して来る。猪熊の爺は、形のない、気味の悪い「死」が、....
」より 著者:芥川竜之介
経験と一しょに、恰《あたか》も火取虫の火に集るごとく、お君さんの小さな胸の中に、四方八方から群《むらが》って来る。お君さんは思わずその八百屋の前へ足を止めた。そ....
誘惑」より 著者:芥川竜之介
う一人の水夫の横腹へずぶりとナイフを突き立ててしまう。大勢の水夫は二人のまわりへ四方八方から集まって来る。 6 仰向《あおむ》けになった水夫の死に顔....
或る女」より 著者:有島武郎
ている間に、その反対の傾向は、殻《から》を破った芥子《けし》の種《たね》のように四方八方に飛び散った。こうして何か今までの日本にはなかったようなものの出現を待ち....
怪星ガン」より 著者:海野十三
そうかんだった。 九台の僚艇は、全部が六号艇の遭難現場のまわりに集まってきて、四方八方から六号艇のほうへ強力なる照空灯で照らした。あたりは光りの海と化した。六....
戦話」より 著者:岩野泡鳴
生懸命――敵に見付かったらという怖さに、たッた独りぽッちの背中に各種の大砲小銃が四方八方からねらいを向けとる様な気がして、ひどう神経過敏になった耳元で、僕の手足....
火星探険」より 著者:海野十三
るで海岸にうちよせる怒濤《どとう》のようになっておどりあがり、そして非常な速さで四方八方からわっと艇へ殺到したのであった。遂に運命のきわまるときが来た。今やこの....
宇宙尖兵」より 著者:海野十三
が厚い硝子張の横に長い窓になっていた。通路を一巡すれば、上下相当の視角にわたって四方八方が見渡せるのであった。 部屋の中央部は、大きな円筒型の壁になっていて、....
火星兵団」より 著者:海野十三
も放送局へも発せられた。そうして、課長の部下は、老博士の行方をつきとめるために、四方八方に散って、大活動を始めた。 だが、老博士の行方は、いつまでも、なかなか....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
徒は嫌いだ。かれらは人生の樹に実がまだいっぱいに生らないうちにその樹をゆすって、四方八方に撒き散らしている。ところで、お前はどういう人間であるのだ。」 ラザル....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
い一|緒になって泣いて了いました。 心の昂奮が一|応鎮まってから、私達の間には四方八方の物語が一しきりはずみました。―― 『そなたは一たい、何処が悪くて歿った....
醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
しなくこだまして、たくさんの雁の群は一せいに蒲の中から飛び立ちました。音はなおも四方八方から絶え間なしに響いて来ます。狩人がこの沢地をとり囲んだのです。中には木....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
砕いてしまえ」 鬼どもは一斉に「はっ」と答えながら、鉄の鞭をとって立ち上ると、四方八方から二匹の馬を、未練|未釈なく打ちのめしました。鞭はりゅうりゅうと風を切....
不周山」より 著者:井上紅梅
のしぶきは彼女の体に降り濺ぐ。この真白な影は、海中で揺れているが、あたかも全体が四方八方に飛び散るごとくである。だが彼女自身は、決して見えない。ただ蹲って、手を....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
で鳴いたり時鳥。……)と旅人の楽書があるのを見て、つい矢立を取って、(このあたり四方八方時鳥、可心。)鳴いているらしく思われます。やがて、総持寺に参詣して、(高....