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四辺
「四辺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
四辺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
と見えるが三だとサ、その年紀で酸漿を鳴らすんだもの、大概素性も知れたもんだ、」と
四辺近所は官員の多い、屋敷町の夫人連が風説をする。 すでに昨夜も、神楽坂の縁日....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
甚だしい誇張があるようである。この大金字塔の当初の高さは一四五メートル、またその
四辺の周縁の全長が九三一メートルであった。この二つの数量の比は一対六・四二で、す....
「海異記」より 著者:泉鏡花
に据えた枕蚊帳の蒼き中に、昼の蛍の光なく、すやすやと寐入っているが、可愛らしさは
四辺にこぼれた、畳も、縁も、手遊、玩弄物。 犬張子が横に寝て、起上り小法師のこ....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
層|鮮麗なものだと思う。その上、選抜した慓悍な黒潮騎士の精鋭|等に、長槍をもって
四辺を払わせて通るのです。得意思うべしではないのですか。 僧都 (頻に頭を傾く。....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
はないが、ざわめく風の間には、海の音もおどろに寂しく響いている。よく言う事だが、
四辺が渺として、底冷い靄に包まれて、人影も見えず、これなりに、やがて、逢魔が時に....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
の若草、廂に伸びたも春めいて、町から中へ引込んだだけ、生ぬるいほどほかほかする。
四辺に似ない大構えの空屋に、――二間ばかりの船板塀が水のぬるんだ堰に見えて、その....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
に油煙で黒くなって正体が分らないのであった。 が凝視める瞳で、やっと少しずつ、
四辺の黒白が分った時、私はフト思いがけない珍らしいものを視た。 二....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
拵えた黒色外套の揶揄である。これが出来上った時、しかも玉虫色の皆絹裏がサヤサヤと
四辺を払って、と、出立った処は出来したが、懐中|空しゅうして行処がない。まさか、....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
さ。その足許にも鳥が立とう。 「さっきの、さっきの、」 と微笑みながら、謙造は
四辺を※し、 「さっきのが……声だよ。お前さん、そう恐がっちゃいかん。一生懸命の....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
ると、うっかりした褄がかかって、引留められたようによろめいたが、衣裄に手をかけ、
四辺を※し、向うの押入をじっと見る、瞼に颯と薄紅梅。 九 煙草盆....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
生はツト心着いて、いぶかしげな目で、まず、傍なる少年の並んで坐った背を見て、また
四辺を※したが、月夜の、夕日に返ったような思いがした。 嫗の言が渠を魅したか、....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の方で『自分の居る世界はモー異っている……。』と言った、微かな自覚があるのです。
四辺は夕暮の色につつまれた、いかにも森閑とした、丁度山寺にでも臥て居るような感じ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
て、「毒じゃない、私は医師です。早くお飲みなさい。という顔をまず屹と視て、やがて
四辺を見廻しつ、泰助に眼を注ぎて、「あれは誰方。泰助は近く寄りて、「探偵吏です。....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
の碌々に異れり。 乗り移るや否、船頭直に櫓を執り、熟地に向う、漁史膝を抱きて、
四辺を眺めながら、昨日一昨日の漁況は如何なりしと問えば、『一昨夜は、例の浅草の旦....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
して進んでゆきつつあることに気がつく。 草鞋の軽い足どりに蹴返さるる落葉の音が
四辺の静かさを破ってひっきりなしに続いてゆく。朝露が裾一尺ばかりを湿して草鞋はだ....