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「四顧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

四顧の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あいびき」より 著者:ツルゲーネフイワン
》に見える人の眼のごとくに朗《ほがら》かに晴れた蒼空がのぞかれた。自分は座して、四顧して、そして耳を傾けていた。木の葉が頭上で幽《かす》かに戦《そよ》いだが、そ....
武蔵野」より 著者:国木田独歩
い》で野を歩み林を訪う」 同二十六日――「午後林を訪《おとな》う。林の奥に座して四顧し、傾聴し、睇視し、黙想す」 十一月四日――「天高く気澄む、夕暮に独り風吹く....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
馭者に向かい、 「おまえさん、金沢へは何日《いつ》、どうしてお出でなすったの?」四顧寥廓《しこりょうかく》として、ただ山水と明月とあるのみ。※戻《りょうれい》た....
趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
人が――最も美くしきその一人が寂光院の墓場の中に立った。浮かない、古臭い、沈静な四顧の景物の中に立った。するとその愛らしき眼、そのはなやかな袖《そで》が忽然《こ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
はあるまい。あの時は、陸地を避けて、船はあんなに遠く海洋の沖中を走っていたのだ。四顧茫々として、遠眼鏡を以てすら陸地がいずれにあるかさえわからなかったその中で、....
小さな旅」より 著者:富田木歩
晩春の墨田川を眺めるために俥は堤へ上った。その辺にまだ妹が彳んでいるものと思って四顧したけれども見えない。夜のお稽古にでも行ってしまったのであろう。何となくもの....
江戸芸術論」より 著者:永井荷風
来つて長持を破るにその中《うち》に人あるを見て驚いて逃ぐ。酔人|目覚《めざ》めて四顧《しこ》焦土となれるを見その身既に地獄にあるものと誤りなす一条の如きは、即ち....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
も飲みとうはないか。なに? ……要らぬ……そうか」 この峰づたいの天井から眸を四顧にやると、北陸の遠い山々から、琵琶の湖はいうまでもなく、伊吹もみえ、近くは瀬....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
見出して、鬱懐の至情を吐きつくすように――去るに忍びない面持で夜空と寂土の万象を四顧しながら、 「――多分、その頃、賊軍と戦って、ここで草の根を喰べながら立て籠....
三国志」より 著者:吉川英治
と、玄徳はしばし行く道も失ったように、茫然自失していた。 陽ののぼるにつれて、四顧に入る山河を見まわすと、濛々と、どこも彼処も煙がたちこめていた。そしてそこに....
随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
地」と題字をかいている。川をへだてて、讃甘神社(むかしの荒巻神社)の森と相対し、四顧、山ばかりしか見えない。今も、静かな山村である。清流吉野川だけが、四世紀前も....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
い。「ここが本宮か?」と、寒さにふるえながら村道の辻に立つ。あらためて思うほど、四顧、むかしを偲ぶ何ものもない。まったくの山村である。ただ、バスの待合所の前で、....