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回向
「回向〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
回向の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
一 本所
大導寺信輔の生まれたのは本所《ほんじょ》の
回向院《えこういん》の近所だった。彼の記憶に残っているものに美しい町は一つもなか....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
たのは、不思議だったくらいでございます。が、せめてもの恩返しに、陰《かげ》ながら
回向《えこう》をしてやりたい。――こう思ったものでございますから、わたしは今日《....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
事には、祥光院の檀家たる恩地小左衛門のかかり人《びと》が、月に二度の命日には必ず
回向《えこう》に来ると云う答があった。「今日も早くに見えました。」――所化は何も....
「少年」より 著者:芥川竜之介
ょく》に富んだ、掴《つかま》え所のない問題はない。保吉は死を考える度に、ある日|
回向院《えこういん》の境内《けいだい》に見かけた二匹の犬を思い出した。あの犬は入....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ける事になったのでしょう。ほどなく泰さんに別れると、すぐ新蔵が取って返したのは、
回向院《えこういん》前の坊主軍鶏《ぼうずしゃも》で、あたりが暗くなるのを待ちなが....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
の一人だった。 一七 幼稚園 僕は幼稚園へ通いだした。幼稚園は名高い
回向院の隣の江東小学校の附属である。この幼稚園の庭の隅には大きい銀杏が一本あった....
「古狢」より 著者:泉鏡花
隧道を幾つも抜けるんだからね。要するに仲蔵以前の定九郎だろう。 そこで、小鳥の
回向料を包んだのさ。 十時四十分頃、二つさきの山の中の停車場へ下りた。が、別れ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
申憎い事ながら、どこを宿ともお定めない、御見懸け申した御坊様じゃ。推しても行って
回向をしょう。ああもしょう、こうもしてやろう、と斎布施をお目当で……」 とずっ....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
降りるわ、混合う人数の崩るるごとき火水の戦場往来の兵には、余り透いて、相撲最中の
回向院が野原にでもなったような電車の体に、いささか拍子抜けの形で、お望み次第のど....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
向いて、珠数を片手に、 「あのう、今しがた私が夢にの、美しい女の人がござっての、
回向を頼むと言わしった故にの、……悉しい事は明日話そう。南無妙法蓮華経。……広供....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
なたも朝夕見ていましょう。あすこにね、私の親たちの墓があるんだが、その居まわりの
回向堂に、あなたの阿母さんの記念がある。」 「ええ。」 「確にあります、一昨日も....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
色を変えて血眼になって、その捜索を、府下における区々の警察に頼み聞えると、両国|
回向院のかの鼠小憎の墓前に、居眠をしていた小憎があった。巡行の巡査が怪んで引立て....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
チーン。――かあかあ――と鴉が鳴く。 やがて、読誦の声を留めて、 「お志の御|
回向はの。」 「一同にどうぞ。」 「先祖代々の諸精霊……願以此功徳無量壇波羅蜜。....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
詣の折には、手向の花を挿れても可いと思うて、石塔の前に据置きましたじゃ。さ、さ、
回向をなされ。いずれも久しい馴染じゃな。」 と、ほろりとした。聞くものの袖も時....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
の与平、うなぎ屋の須崎屋、牛肉の外にも冬になると猪や猿を食わせる豊田屋、それから
回向院の表門に近い横町にあった「坊主軍鶏――」こう一々数え立てて見ると、本所でも....