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回復期
「回復期〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
回復期の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「硝子戸の中」より 著者:夏目漱石
、病気の性質そのものが、私にこの絶食を余儀なくさせるのである。だから病み始めより
回復期に向った時の方が、余計|痩《や》せこけてふらふらする。一カ月以上かかるのも....
「こころ」より 著者:夏目漱石
す。母はそれを覚《さと》っていたか、または傍《はた》のもののいうごとく、実際父は
回復期に向いつつあるものと信じていたか、それは分りません。母はただ叔父《おじ》に....
「道草」より 著者:夏目漱石
》の守坂《かみざか》へ出掛けた時は六《む》ずかしいかも知れないといった姉が、もう
回復期に向っていた。 「まあ結構です」 彼は尋常の挨拶《あいさつ》をした。けれ....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
うとしつつある間際《まぎわ》にも、まだこれほどに機略を弄《ろう》し得るものかと、
回復期に向った時、余はしばしば当夜の反抗心を思い出しては微笑《ほほえ》んでいる。....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
る吉左衛門は山の中へ来る六月の暑さにも疲れがちであった。半蔵は一度倒れたこの父が
回復期に向かいつつあるというだけにもやや胸をなでおろして、なるべく頭を悩まさせる....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
少年が解放治療場に参りましてから後の、長い長い心理遺伝の発作の途中、もしくはその
回復期に於て、いつかはそうしたこの少年の腮の性格……感傷的な、もしくは激情的な気....
「花園の思想」より 著者:横光利一
された腐った肺臓を持っていた。一の傷ついた肺臓が、自身の回復した喜びとして、その
回復期の続く限り、無数の傷ついた肺臓を助けて行く。これが、この花園の中で呼吸して....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
二つ拾ったので、それというのもまず私が死んだからで相当感謝されています。私は今、
回復期のきわめて滑稽な状態で、自分の疲れ方が見当がつかないところがあって、どの位....
「二つの途」より 著者:豊島与志雄
啓介は初め、感性感冒に罹った。次で気管支加答児と肺炎とを併発した。熱が下っても
回復期が長かった。その間を待ちきれないで、まだラッセルが残ってるうちに、彼は無理....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
的緊張は、今もなお彼を疲憊《ひはい》さしていたが、そういう緊張のあとにおいては、
回復期の倦怠《けんたい》でさえ一つの休息であった。数か月以来不断の警戒的気持に堅....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
かし彼女はいかにつとめても、すぐにはその傷を忘れ去ることができなかった。ちょうど
回復期と同じだった。二人の間には気まずい隔てができた。彼女の愛情は前に劣らず強か....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
人は自分たちを結びつけてる糸が神聖なものとなってるのを感じた。 リオネロの長い
回復期を過ごしてパリーに帰り、パッシーに小さな邸宅を借りて住んでからは、彼女はも....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
も強く、また今なお、きわめて痛ましいものではあったが、既に彼女自ら知らないうちに
回復期に向かっていた。自然と、春と、青春と、父に対する愛と、小鳥や花の快さなどは....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
に運ばれてきた悲しい夜から満三カ月たった時、医者はその生命を保証すると明言した。
回復期がやってきた。けれどもなお彼は、鎖骨の挫折《ざせつ》からくる容態のために、....