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団扇
「団扇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
団扇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
も、ある家の軒下《のきした》に佇《たたず》んだ甚平《じんべい》一つの老人などは渋
団扇《しぶうちわ》を額《ひたい》へかざしたまま、「ははあ、十五円の葬《とむら》い....
「竜」より 著者:芥川竜之介
往来のものどもが集った? ではそちらへ参ると致そう。童部《わらんべ》たちもその大
団扇《おおうちわ》を忘れずに後からかついで参れ。
「やあ、皆のもの、予が隆国《た....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
とは出来ない。もしそれでも得られるとすれば、炎天に炭火を擁《よう》したり、大寒に
団扇《うちわ》を揮《ふる》ったりする痩《や》せ我慢の幸福ばかりである。
....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ような心もちだった。」――新蔵はこう委細《いさい》を話し終ると、思い出したように
団扇《うちわ》を使いながら、心配そうに泰さんの顔を窺《うかが》いました。が、泰さ....
「或る女」より 著者:有島武郎
女中に渡した。そしてずっと並んだ五つの部屋を一つ一つ見て回って、掛け軸、花びん、
団扇《うちわ》さし、小屏風《こびょうぶ》、机というようなものを、自分の好みに任せ....
「或る女」より 著者:有島武郎
もどんぶく様ともいう寺の屋根が庭先に見えて、そこから眼病の祈祷《きとう》だという
団扇《うちわ》太鼓の音がどんぶくどんぶくと単調に聞こえるような所だった。東のほう....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
トその壁の上を窓から覗《のぞ》いて、風にも雨にも、ばさばさと髪を揺《ゆす》って、
団扇《うちわ》の骨ばかりな顔を出す……隣の空地の棕櫚《しゅろ》の樹が、その夜は妙....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
した、三十ばかりの女房で。 あんぺら帽子を阿弥陀かぶり、縞の襯衣の大膚脱、赤い
団扇を帯にさして、手甲、甲掛厳重に、荷をかついで続くは亭主。 店から呼んだ姥の....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
りと捲ると、月代茶色に、半白のちょん髷仮髪で、眉毛の下った十ばかりの男の児が、渋
団扇の柄を引掴んで、ひょこりと登場。 「待ってました。」 と頬被が声を掛けた。....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
十四段、南無身延様、三百六十五段……」 もう一息で、頂上の境内という処だから、
団扇太鼓もだらりと下げて、音も立てず、千箇寺参りの五十男が、口で石段の数取りをし....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
入ってしまった。埃だらけの足を、下駄へ引擦ったなり、中二階のような夏座敷へ。……
団扇を出したっけな、お京も持って。さて、何を聞いたか、饒舌ったか、腰掛窓の机の前....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
な柔和な目も、人形が大きいからこの皿ぐらいあるのを、ぱくりと遣っちゃ、手に持った
団扇をばさりばさり、往来を煽いで招くが、道幅の狭い処へ、道中双六で見覚えの旅の人....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
がちらちらと白く飛んで、浜の二階家のまわり縁を、行きかいする女も見え、簾を上げる
団扇も見え、坂道の切通しを、俥が並んで飛ぶのさえ、手に取るように見えたもの。 ....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
瓜畑を見透しの縁――そこが座敷――に足を投出して、腹這いになった男が一人、黄色な
団扇で、耳も頭もかくしながら、土地の赤新聞というのを、鼻の下に敷いていたのが、と....
「活人形」より 著者:泉鏡花
凄く、人の顔のみようよう仄めき、逢魔が時とぞなりにける。亭主はいよいよ心|臆し、
団扇にてはたはたと、腰の辺を煽ぎ立て、景気を附けて語りけるは、「ちょうどこの時分....