団栗[語句情報] » 団栗

「団栗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

団栗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
酒中日記」より 著者:国木田独歩
、お露もまた自分に涙を見せたことはないのである。さても可愛いこの娘、この大河なる団栗眼《どんぐりまなこ》の猿のような顔《つら》をしている男にも何処《どこ》か異《....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
やはりインフルエンザで死んだ。 時雨のふる頃となった。 この頃の空を見ると、団栗の実を思い出さずにはいられない。麹町二丁目と三丁目との町ざかいから靖国神社の....
パルチザン・ウォルコフ」より 著者:黒島伝治
皮を纏った小人のような小さい兵士達が散兵線を張って進んでいた。 白樺や、榛や、団栗などは、十月の初めがた既に黄や紅や茶褐に葉色を変じかけていた。露の玉は、そう....
海賊と遍路」より 著者:黒島伝治
眺めて暮した後、やっと起きて坐れるようになって、窓から小高い山の新芽がのびた松や団栗や、段々畑の唐黍の青い葉を見るとそれが恐しく美しく見える。雨にぬれた弁天島と....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
かどうも、奥が深い。」 「もう口許だけでございます。で、ございますから、榎の実に団栗ぐらい拾いますので、ずっと中へ入りますれば、栗も椎もございますが、よくいたし....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
「魔が来たよう。」 「天狗が取ったあ。」 ワッと怯えて、小児たちの逃散る中を、団栗の転がるように杢若は黒くなって、凧の影をどこまでも追掛けた、その時から、行方....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
羽さ弾いて、赤蜻蛉が二つ出た。 たった今や、それまでというものは、四人八ツの、団栗目に、糠虫一疋入らなんだに、かけた縄さ下から潜って石から湧いて出たはどうした....
露肆」より 著者:泉鏡花
兎引の木兎、で三寸ばかりの天目台、すくすくとある上へ、大は小児の握拳、小さいのは団栗ぐらいな処まで、ずらりと乗せたのを、その俯目に、ト狙いながら、件の吹矢筒で、....
黒百合」より 著者:泉鏡花
ぬいと出た、この野面を誰とかする。白薩摩の汚れた単衣、紺染の兵子帯、いが栗天窓、団栗目、ころころと肥えて丈の低きが、藁草履を穿ちたる、豈それ多磨太にあらざらんや....
窃む女」より 著者:黒島伝治
になると、 「ひとつ山を伐ろう。」と云いだした。 お里はすぐ賛成した。 山の団栗を伐って、それを薪に売ると、相当、金がはいるのであった。 二 ....
アド・バルーン」より 著者:織田作之助
も生れて、その時三つ、新次というその子は青ばなを二筋垂らして、びっくりしたような団栗眼は父親似だった。父親は顔の造作が一つ一つ円くて、芸名も円団治でした。それで....
鍬と鎌の五月」より 著者:黒島伝治
て、だん/\に家ほどの高さになってきた。五月の太陽はうら/\と照っていた。笹や、団栗や、雑草の青い葉は、洗われたように、せい/\としている。 「おい/\、こいつ....
おせん」より 著者:邦枝完二
て待っていた藤吉は、駕籠の中からこぼれ出たおせんの裾の乱れに、今しもきょろりと、団栗まなこを見張ったところだった。 「やッ、おせんちゃん。師匠がさっきから、首を....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
見物で。――帰途は、薄暮を、もみじより、花より、ただ落葉を鴨川へ渡したような――団栗橋――というのを渡って、もう一度清水へ上ったのです。まだ電燈にはならない時分....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
なんと思って上から顔を視ると、睡っていたんじゃないんです。円くて渋面の親仁様が、団栗目をぎろぎろと遣って、(狐か――俺は天狗だぞ、可恐いぞ。)と云うから、(可恐....