困り者[語句情報] » 困り者

「困り者〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

困り者の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
になっていらっしゃるのでしょう。」 お路は眼を針から離さずに、返事をした。 「困り者だよ。ろくなお金にもならないのにさ。」 お百はこう言って、伜と嫁とを見た....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
「やっぱり相変らずですわ」 「あれにも、本当に……」で薄く八の字を寄せたが、 「困り者だね」と切った時、八の字は見る見る深くなった。 「何でも奥歯に物の挟《はさ....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
ないような、随分しっかりした人物もありました。併し又そのなかには随分だらしのない困り者があったのも事実で、それを証拠にして、さあ何うだと云われると、まったく返事....
」より 著者:島崎藤村
一緒だナア」 二人の話は宗蔵や実の家の噂に移って行った。 「真実に、宗蔵の奴は困り者だよ。人間だからああして生きていられるんだ。これがもし獣で御覧、あんな奴は....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
む。近所の事ではあり、病気と皆が承知して居るので、表沙汰にはならなかったが、一同困り者にして居た。杉苗でもとられると、見附次第黙って持戻ったりする者もあった。此....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
てやる、心配には及ばぬとナ。女は夫を持つと気が小さくなるというが、娘の時のあれは困り者のほどな大気の者であったが、余程聟殿を大事にかけていると見えて、大層女らし....
涼亭」より 著者:田中貢太郎
ないで、甚だ風采のあがらないうえに、三十二になっても、童子の試にとおらないという困り者でしたが、お父さんに随いて荊南へ行って、南城の外倉橋の側に宿をとっていると....
源氏物語」より 著者:紫式部
竜宮《りゅうぐう》の王様のお后《きさき》になるんだね。自尊心の強いったらないね。困り者だ」 などと冷評する者があって人々は笑っていた。話をした良清《よしきよ》....
丹下左膳」より 著者:林不忘
娘というのはいかがいたした?」 「宿元へ残して参りましたが、それが殿様、ほんとに困り者なんでございますよ」 「どうしてだ?」 「いえね。まあ、この婆あとしては、....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
ればこれを平等に愛するのは容易ではありません。長男はグヅでいかん、次男は反抗的で困り者だ、三男だけがよく言うことを聞き、才能もあるようだとなると、ついこの三男を....
三国志」より 著者:吉川英治
あの叔父さんに何か憎まれてやしませんかッて。なんでも、わたしの事を放蕩息子だの、困り者だの、また癲癇持ちだのって、方々へ行って、しゃべりちらしているらしいんです....
三国志」より 著者:吉川英治
とおり明け暮れ狩猟ばかりして、少しも農耕や学問はいたしません。どうも手におえない困り者で」 「なに、そう見限ったものでもないよ。狩猟も武のひとつ、儒学や家事の手....
三国志」より 著者:吉川英治
していた。 ところが新任の国防総司令|徐盛の下知に対して、事ごとに反抗的に出る困り者がひとり現われた。孫権の甥にあたる若い将軍で、孫韶字を公礼という青年だった....
俗臭」より 著者:織田作之助
るものを、見す/\あっという間の快楽のために失ってなるものか。春松は遊びが好きで困り者だったが、その代り、白金分離の仕事はまことに鮮かだった。先ずガラス棒を火で....
それから」より 著者:夏目漱石
兄になすり付けた覚《おぼえ》はある。その時兄は叱《しか》るかと思いの外、そうか、困り者だな、親爺《おやじ》には内々で置けと云って嫂を通して、奇麗に借金を払ってく....