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困憊
「困憊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
困憊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
いだ》、ここにこうしているのか、それとも一年も前から同じように寝ているのか、彼の
困憊《こんぱい》した心には、それさえ時々はわからない。目の前には、さまざまな幻が....
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
ようなそのアリシア区に、突然爆撃戦隊が乗りこんできた。まるで泥流のように、疲労し
困憊しきったその夥しい戦隊の兵士たちが……。ペンとバラはびっくりして蝙蝠のように....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
にも入るかと思った第二報はいつまで経っても音沙汰がなかった。 このような失望と
困憊のあとに、突然として待望久しき第二報が、WGY局から放送されたのだった。 ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
いる。けれども、説き去るかたわら新しい懐疑が起って、彼は呪われた和蘭人のように、
困憊彷徨を続けているのだ。そして、ついに問題が倍音に衝き当ってしまうと、法水は再....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
みから救い出したい。 静子の心は千々に乱れたが、昼よりの疲れに、今は身心ともに
困憊して、そのまゝ子供の枕許へウト/\と寝崩れて終った。 ふと、冷たい風が身に....
「座興に非ず」より 著者:太宰治
たままで腐り、むざんの醜骸をとどめ、ぞろぞろ通る夕涼みの人も間抜け顔して、疲労|
困憊の色が深くて、世界の終りを思わせた。 上野の駅まで来てしまった。無数の黒色....
「富岡先生」より 著者:国木田独歩
自宅に帰ったのは十二時過ぎであった。何処を徘徊いていたのか、真蒼な顔色をしてさも
困憊している様子を寝ないで待っていた母親は不審そうに見ていたが、 「お前又た風邪....
「わが血を追ふ人々」より 著者:坂口安吾
男はすり切れたやうな声で答へたゞけだつた。さすがにこの男も冬の荒れ海の水練に疲労
困憊してゐたのである。男は暫く汀にうづくまつてゐたが、やがて起き上つて腰に巻きつ....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
れば、現実の問題である。それに、祖母への愛着が異常にふかいだけに、削られる思いで
困憊の底から思案あまって療養所へ救いをもとめた。すると、方子からは詳しくとのこと....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
そうでなくてさえ荒くれ男、数人を相手に闘ったあげく、一人を突いて倒していた。疲労
困憊その極にあった。しかも今も切りかかって来ている。そこへ兄であり恋人であり、許....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
ないし、自分の職務には気を配らなければならないし、四方八方からせきたてられて疲労
困憊しながら、それでもエセックスは時間とエネルギーの僅かな余裕を見出して、司法部....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
な自分を見せつけ見せつけ縋りつくのである。自分の中の二つの争いには、ほとほと疲弊
困憊した慧鶴青年は、何等か心を転ずるものを求めようとすればそこに、土足で乳のみ児....
「妻」より 著者:神西清
明日こそ発とう。」 私は書類と帳面をまとめて妻のところへ行った。はげしい疲労と
困憊を感じ、書類と帳面を両手で胸に圧しつけて、寝室を通り抜けながら自分のトランク....
「世間師」より 著者:小栗風葉
海の音と分った。私は町を放れて、暗い道を独り浦辺の方へ辿っているのであった。この
困憊した体を海ぎわまで持って行って、どうした機でフラフラと死ぬ気にならないもので....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
うして、かの絶倫なる諸王、ブル中の英雄たちも、不眠と絶食と間断なき性交とに、疲労
困憊の極は、へとへとによろよろになってようやくに後から後から蹤いて去るのだ。ああ....