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固唾
「固唾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
固唾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
は結局食欲をそそる媒介《なかだち》になるばかりだった。二人は喰い終ってから幾度も
固唾《かたず》を飲んだが火種のない所では南瓜《かぼちゃ》を煮る事も出来なかった。....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
わさんとせり。馭者は月に向かえる美人の姿の輝くばかりなるを打ち瞶《まも》りつつ、
固唾《かたず》を嚥《の》みてその語るを待てり。白糸は始めに口籠《くちご》もりたり....
「蠅男」より 著者:海野十三
帆村は勇敢にも、ぐるっと後部の方に廻ってから自動車の方に匍っていった。長吉は
固唾を嚥んで、帆村の態度を注視していた。 帆村は飛びつくようにして遂に車体にピ....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
おやおや、あんなものを何にするのだろう。と、春木、牛丸の二少年が、屋根のうえから
固唾をのんで見ているとは、もとより知らぬ小男、しばらくその棒をひねくりまわしてい....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
っきし狂人見てえだった。筋が吊ったか舌も廻ら無え、「何んだってカチヤを出した」と
固唾をのみながらぬかしやがる。 「出したいから出した迄だ、別に所以のある筈は無え....
「二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
物であるところのドラマ『イネ国の崩壊』が始まっていた。一万五千人にのぼる主客は、
固唾をのんで、その舞台面に見入っていた。 イネ国の崩壊! イネの国民にとって....
「未来の地下戦車長」より 著者:海野十三
てきた。 「うむ、いよいよ出るらしい」 加瀬谷少佐をはじめ、試験部隊の一同は、
固唾《かたず》をのんで、問題の地下戦車の上に視線をあつめる。 そのときであった....
「四次元漂流」より 著者:海野十三
いますか」 川北先生は重大な質問を発した。老浮浪者はどんな答をするかと、道夫は
固唾をのんで、相手の髯面を見つめた。 すると老浮浪者は、大きな手袋をはめた両手....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
下空曹長の姿が見える。 起重機はぐーっと動きだした。 艦橋の上では艦長以下が
固唾をのんでこの繋留作業の模様をみつめている。 このとき艦橋当直下士官が叫んだ....
「空襲警報」より 著者:海野十三
れているきたない服装をした男の持物を、懐中電灯の明りで調べだした。人々は遠くから
固唾をのんでひかえていた。 と、突然、 「……ああ、あった。これだッ」 国彦....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
神秘なる場面にも見えた。茶店の娘とその父は、感に堪えた観客のごとく、呼吸を殺して
固唾を飲んだ。 ……「ああ、お有難や、お有難い。トンと苦悩を忘れました。お有難....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
、荷車が、乗被さるではござりませぬか。」 「おおおお、」 と、法師は目を※って
固唾を呑む。 「吃驚亀の子、空へ何と、爺どのは手を泳がせて、自分の曳いた荷車に、....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
す、先生。 三宜亭で、夢中ながら目を光らせて、鼻をフンフンとやって、 (私あ、
固唾を飲んでた処だ。符帳が合ったから飛出した、)と拳固で自分の頬げたを撲りながら....
「むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
殺されたと云えば、殺されたとも云えましょう――」 「まあ! 誰にですの?」と私は
固唾を呑んだ。 彼は平然として云った。 「人間じゃありません」 「人間じゃない....
「魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
けますから――」と云ってから、両人へ合図の眼を向けた。 緊張した顔を並べて一同
固唾を呑んだ。重苦しい空気が室内に充満した。 ガチャリ! 背部はぱっと開かれた....