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固守
「固守〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
固守の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「煙管」より 著者:芥川竜之介
顧慮する如きは、姑息《こそく》の見《けん》であると云う。――二人は、各々、自説を
固守して、極力|論駁《ろんばく》を試みた。
すると、老功な山崎が、両説とも、至....
「少年」より 著者:芥川竜之介
の毒にも丹念《たんねん》に死と云うものを説明し出した。が、父の説明も少年の論理を
固守《こしゅ》する彼には少しも満足を与えなかった。なるほど彼に殺された蟻の走らな....
「癩」より 著者:島木健作
《うら》やむべき境地であろう! 多少でも何ものかに強制された気持でそういう立場を
固守しなければならず、無理にでもそこに心を落ちつけなければ安心ができないというの....
「新生」より 著者:島崎藤村
が来た。旅は自分の生活を変えたばかりでなく物の考え方をも変えさせた。自分は独身を
固守するつもりも無かった。自分自身結婚する考えでもあり、節子にもまた適当な配偶者....
「乱世」より 著者:菊池寛
ちを宥めて、籤に当って決った藩論に従わしめようと焦った。が、下士たちはその主張を
固守して、一歩も退かなかった。一方東下論者の酒井、杉山は、神籤によって決った東下....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
の根拠地となっている。その為めには、縦令愛の失われた男女の間にも、家族たる形体を
固守せしめる必要がある。それ故に家族の分散は社会が最も忌み嫌うところのものである....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
たけき武士にとって茶室はありがたい休養所となった。十七世紀徳川治世のきびしい儀式
固守主義の発達した後は、茶室は芸術的精神と自由に交通する唯一の機会を与えてくれた....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
もう長いことそれを経験して来た。在来の東洋諸国を見るに、多く皆|旧くからの習慣を
固守するばかりだ。貿易を制限するところがあり、居留地を限るところがあり、交際の退....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
の一方を除いては三方皆山であるから、四方策応して取って掛られたが最期、城に拠って
固守すれば少しは支え得ようが、動こうとすれば四年前の小山田筑前の覆轍《ふくてつ》....
「伝統と進取」より 著者:九鬼周造
足れりとするというのがもう一つである。まず第二の点から考察していこう。私が伝統の
固守をもって足れりとする者でないことは私自身にはあまりにも明白なことである。私は....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
して私の場合には、大多数の人々の場合と同様に、自分の善い方を選びはしたが、それを
固守する力が足りないことがわかったのである。 そうだ、私は、友人たちに取りかこ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
自惚もなかったが、今もなお彼女の若かりし時代の習慣をそのままに、二十年前の流行を
固守した衣裳を身につけると、五十年前と同じように、長い時間をついやして念入りの化....
「学生と教養」より 著者:倉田百三
くなったきらいがなく(現象学派には多少この傾きがなくもない)意志の自律性を強靭に
固守する点で形式的主観的でありながら、人間行為の客観的妥当性を強調して、主観的制....
「笑について」より 著者:岸田国士
うしても三週間経てば起さなくちやいかん。」内科の先生はそれに対して頑として自説を
固守して「いや/\、それは内科の医者としては絶対に起すことには反対だ。そうすると....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
一日その部将フンクがマキセン附近でダウンに包囲せられて降伏し、墺軍はドレスデンを
固守し両軍近く相対して冬営する事となった。 ホ、一七六〇年 大王の形勢ますま....