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土佐絵
「土佐絵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
土佐絵の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「巡査辞職」より 著者:夢野久作
茣蓙《ござ》が敷詰められて、やはり土蔵の奥から持出された古い質草らしい、暑苦しい
土佐絵《とさえ》の金屏風《きんびょうぶ》が建てまわされた。そうしてその土蔵の背後....
「河口湖」より 著者:伊藤左千夫
びらをとかして彩色したように顔が美しい。わりあいに顔のはば広く、目の細いところ、
土佐絵などによく見る古代女房の顔をほんものに見る心持ちがした。富士のふもと野の霜....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
ばならぬのであろうか?
けれども、彼は、浪路の、しっとりした姿の背景をなす、古
土佐絵の、すばらしい金屏《きんぺい》や、床《とこ》の唐美人図や、違い棚の豪奢《ご....
「名娼満月」より 著者:夢野久作
から青貝の鞘、茶※、白金具という両刀の好みまで優にやさしく、水際立った眼元口元も
土佐絵の中から脱け出したよう。女にしても見まほしい腮から横鬢へかけて、心持ち青々....
「春昼」より 著者:泉鏡花
波の紺青も、金色の竜も色さみしく、昼の月、茅を漏りて、唐戸に蝶の影さす光景、古き
土佐絵の画面に似て、しかも名工の筆意に合い、眩ゆからぬが奥床しゅう、そぞろに尊く....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
四枚の扇の絵を散らし、六面の襖の四つは加茂《かも》の葵祭《あおいまつり》を描いた
土佐絵。第四「馬の間」の襖は応挙、第五「孔雀《くじゃく》の間」は半峰、第六「八景....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
ている窓に来て一言二言ずついった。野球のミットのような掌《てのひら》を広げると、
土佐絵に盛りあげた菜の花の黄か――黄色い蝶をつかんできたのかと思うほど鮮かな色が....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
済むまいけれど、伊勢というだけに、何しろ、電信柱に附着けた、ペンキ塗の広告まで、
土佐絵を見るような心持のする国だから、赤い唐縮緬を着た姐さんでも、京人形ぐらいに....
「日記」より 著者:宮本百合子
朝起きて見ると五寸ほども雪が積って居る。 雪の朝は、木造のかよわい日本の家も
土佐絵風な美をあらわす。 さむし。 源氏を皆よむ。元と違って、種々な点で面白....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
いている。……真向うは、この辺一帯に赤土山の兀げた中に、ひとり薄萌黄に包まれた、
土佐絵に似た峰である。 と、この一廓の、徽章とも言つべく、峰の簪にも似て、あた....
「京の四季」より 著者:和辻哲郎
葉がのびて来て、古い葉と層々相重なった、いかにも松の新緑らしい形になる。なるほど
土佐絵の画家はこれを捕えたのであったかと気づかざるを得ないような形である。東京で....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
佐といえば、誰も産物として手漉の和紙を挙げるでありましょう。「土佐半紙」の名は「
土佐絵」、「土佐犬」、「土佐節」などの如く、土佐に因むものとして広く聞えます。時....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
、画壇のうちにもっていたのである。 狩野正信、元信などを祖とする狩野派が起り、
土佐絵系の復興が見られ、また安土、桃山文化などの新時代の風潮に適応して興った永徳....
「随筆 私本太平記」より 著者:吉川英治
朝期一連のものがじつに愉しい。ただここで驚かれることもある。それは鎌倉初世以来の
土佐絵巻の画脈が、ここで断層をおかれたように、半世紀の戦乱で、ぶッつり断ち切られ....